日本製紙と日本コカ、2030年に向け協働加速へ

日本製紙と日本コカ・コーラは9月6日、「持続可能な社会の構築に関する協働基本合意書」の締結を発表した。合意書は8月1日付で締結されたもので、2030年までの中長期的な目標となる。両社は「資源の循環・保全」、「地域社会の発展」、「多様性の尊重」の3分野において、これまでの事業で得られた知見を活用し、取り組みを進めるという。(オルタナ編集部・長濱 慎)

■「森と水」の保全に加え、脱炭素、ジェンダー平等も

両社は2013年9月から2021年3月まで、森林や水源の保全活動において協働してきた。今回の合意書はその発展型といえるもので、2030年を見据えて以下の3分野にターゲットを拡大した。

1.資源の循環・保全

・森林の保全
日本製紙の菅沼社有林(群馬県)において、森林の水源涵養力を維持・向上する活動に取り組む。

・飲料容器を含む紙素材の利活用
紙素材を活かしたパッケージを検討するほか、紙コップの回収リサイクルについても共同の可能性を模索する。

・CO2排出量削減
日本製紙が間伐促進プロジェクトで創出したJ-クレジットを活用する。コカ・コーラシステム従業員らによる海岸清掃活動において、参加者1名につき1トンのCO2をオフセット(上限1000トン)し、脱炭素への啓発を目指す。

2.地域社会の発展
従来の森林・水源保全活動に加え、気候変動や自然災害リスクの低減、生物多様性の維持などを目的としたグリーンインフラ活動を行う。グリーンインフラとは、自然環境が有する機能を社会課題の解決に活用する考え方をいう。

3.多様性の尊重
女性の活躍推進やLGBTQへの理解を進め、多様性と包摂性のある社会の実現を目指す。

両社は重要資源である「森と水」の保全という共通の目標を掲げ、SDGsに取り組んでいる。このようなサステナブルを軸にした協働は、今後もさまざまな業界に波及していくだろう。

本件に関する日本製紙のコメントは、以下の通りだ。

「一つの大きなポイントが、脱プラスチックと紙素材のリサイクルになる。他にも排出権取引の加速など、いろいろな分野で包括的かつ相互にSDGs経営を加速していきたい」(広報室)

S.Nagahama

長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

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