フューエル・エフィシェンシー(東京・中央)は、漁船の燃費向上に寄与する自社のエンジンオイルを使う約300人をメンバーに迎え、漁業者コミュニティー「ブルーフォーラム」を立ち上げた。現在の主な活動は、メンバーの収益改善を目標とする直販ルートの開拓。ブルーフォーラムの魚を「CO2削減に貢献する魚」としてブランド化して国内外で売り出す計画だ。(オルタナ編集委員=瀬戸内千代)

同社は、漁船の燃費向上によってCO2排出量を15~20%削減するエンジンオイル「スマートオイル」を日本で専売するベンチャーで、母体はシンガポールの投資会社である。現在、日本で約1000隻の漁船がスマートオイルを使っている。

豊かな海洋生態系に恵まれた日本の漁業ポテンシャルは世界の中でも特に高いが、水産白書によると沿岸漁船漁業を営む個人経営体の2019年の平均漁労所得は169万円。零細漁業者の生活はコロナ禍前から苦しかった。

コロナ禍が長引き、魚価が従前の半額あたりで低迷する中、一般的なエンジンオイルよりやや高価なスマートオイルをCO2削減のために選んでいる漁業者たちも、飲食店など魚の販売先を失い経営難に陥っている。

そこで、約2カ月に1回のエンジンオイル交換を介して、全国に散る環境意識の高い漁業者たちとつながっている同社は、ブルーフォーラムで彼らのネットワーク化を図った。

メンバーの多くは30-40代。毎週オンラインで対話を重ね、「漁獲した水産物の価格決定権が漁業者にない上に、最終価格の3割程度しか還元されない」流通構造の課題に注目。このままでは生活が成り立たないため、「少なく獲って高く売る」直売ルートの確立を目指し始めた。

6月には、3人のメンバーがブルーフォーラムブランドの魚の模擬販売を実施した。来年開場する成田新市場とも交渉中で、輸出も視野に国内外で独自の直売ルートを模索している。それを支える同社は、年内の始動を目指し、IT企業と協力して販売インフラを準備している。

同社の伊東崇司氏は「資源管理の前提として、漁業者の収益改善は必須。コミュニティー構築と漁業のIT化に継続的に取り組んでいく」と語った。

漁船のCO2削減と収益向上を目指す(画像はイメージ)