大阪府・大阪市、ブリタと連携し「プラごみゼロ」へ

大阪府・大阪市と独家庭用浄水器メーカーBRITA Japan(ブリタジャパン)は10月27日、海洋プラスチックごみ問題をはじめとした環境分野での事業連携協定を締結した。「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の実現に向けて、マイボトル・給水スポットの普及拡大や環境教育などに取り組む。大阪府・市が同ビジョンをテーマに民間企業と環境分野の事業連携協定を締結するのは初だという。(オルタナ副編集長=吉田広子)

事業連携協定の協定式で
事業連携協定の協定式で

大阪府・大阪市は2019年6月に開かれたG20大阪サミットで、2050年までに海洋プラスチックごみによる新たな汚染をゼロにする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を策定した。

その実行計画として、「2030年度に大阪湾に流入するプラスチックごみの量を半減する」といった目標を掲げ、「プラスチック製品の使用抑制と環境への流出の削減」「あらゆるステークホルダーとの連携」などを柱とした施策を展開している。

それらを推し進める取り組みの一環として、今回の事業連携協定が実現した。

協力内容は、マイボトル・給水スポットの普及や海洋プラごみ問題に関する啓発、海外への情報発信、水辺の清掃活動、環境教育などだ。具体的には、ボトル型浄水器やタンク型浄水器の提供や店頭での情報発信、大阪府内の高校生を対象にした環境教育の実施などを予定している。

大阪府環境農林水産部の岡野春樹副理事は、「大阪府も大阪市も2050年カーボンニュートラル(実質ゼロ)を目指している。化石燃料が原料のプラスチック製品の使用抑制は、海洋汚染だけではなく、気候変動対策にもつながる。2025年には大阪万博を控えており、こうしたサステナビリティの取り組みを世界にアピールしていきたい」と意気込む。

大阪市環境局の堀井久司理事兼エネルギー政策室長は、「大阪湾にもペットボトルが浮いているが、これは自然に発生したのではなく、人の手を介して自然界に流出してしまったものだ。こうしたごみを1本でも減らしていかなければならない。環境課題の解決には、市民や事業者といったステークホルダーの連携が必要不可欠」と話した。

BRITA Japanは、京都府亀岡市に続き、自治体との連携は2例目になる。同社は「人々の水の飲み方を、持続可能な方法で変えていくこと」をビジョンに掲げ、同社製品を通じた使い捨てプラスチック問題の解決に取り組んできた。

同社のマイケル・マギー社長は「海洋汚染をなくすという3者共通の思いを具現化していくのが今回の連携である。一社単独でできることは限られており、多くのパートナーが目標をともにすることで、より大きな成果につながる。『コレクティブインパクト』(集合的な成果)で、環境問題に貢献していきたい」と語った。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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