相次ぐ電車内刺傷事件、覚えておきたいツール5つ

10月31日夜、京王線の車内で乗客が切りつけられるなどして17人がけがをする事件が起きた。2021年8月には小田急線車内で、2018年6月には東海道新幹線車内で、同様の刺傷事件が起きている。逃げ場のない電車内で事件が起きた場合、身を守るために覚えておきたい5つの安全設備を紹介する。(オルタナ副編集長=吉田広子)

国土交通省鉄道局が公表している「鉄道の安全利用に関する手引き」では、鉄道の安全設備や安全の仕組みについて紹介している。

車両や実際の状況によって、対応方法はケースバイケースだが、身を守るために覚えておきたい基本的な安全設備をピックアップした。

※いたずらなどで利用した場合は法律で罰せられる場合もある

まずはよく使う列車の「安全設備案内図」を確認

列車内には各種安全設備が設置されているが、その案内図が一部の車両に掲示されている。どこに何があるのか、よく利用する列車の案内図を確認し、いざという時に備えたい。

緊急時には「車内非常通報ボタン」を

列車内に設置された非常通報器。鉄道事業者や車両によって、仕様や設置位置が異なるので日頃から確認しておきたい
列車内に設置された非常通報器。鉄道事業者や車両によって、仕様や設置位置が異なるので日頃から確認しておきたい

鉄道事業者によって設置数や設置場所は異なるが、列車には車内非常通報装置(車内非常通報ボタン)が設置されている。連結部付近に「SOS」と表示されている場合が多い。乗務員と通話可能なタイプと、通話はできず乗務員室に通報されるのみのタイプがある。

国交省のガイドラインでは、「列車内で不審者や不審物を発見した場合、トラブルがあった場合など、緊急で乗務員等に知らせる必要があるときは、ためらわずに車内非常通報装置を使用しましょう」と呼び掛けている。

「非常用ドアコック」の使用は慎重に、列車にひかれる危険性も

列車内に設置された非常用ドアコック。手動でドアを開けられるが、使い方には注意が必要だ
列車内に設置された非常用ドアコック。手動でドアを開けられるが、使い方には注意が必要だ

「非常用ドアコック」とは、車両のドアを手動で開ける装置。火災発生時を想定して設置された。ドアや非常通報装置付近に設定されている場合が多い。

手動でドアの開閉が可能なドアコックは、命の危険がある場合に重要な避難手段となる。だが、その使い方や脱出方法には注意が必要だ。線路内は高電圧の設備が多く危険で、脱出時に転落の可能性や、反対方向から走ってくる列車にひかれてしまう危険性もある。

状況によってケースバイケースの対応が必要だが、基本的には車内アナウンスなど乗務員の指示のもと、ドアコックを操作することが望ましい。

列車内には「消火設備」も

走行中の列車内で火災が発生したときなどに備えて、車内には消火器が設置してある。

ホームドアにも「非常用開放ボタン」

ホームドアなどに挟まれたり、ホームドアと車両の間に取り残されたりしたときのために、ホームドアにも「非常用開放ボタン」が設置されている。ガイドラインでは「ためらわずに非常開放ボタンを押し、ホームドア等を手で開けて退避しましょう」としている。

一方で、「プラットホームから線路内に転落したり、列車に接触したりするなどの事故につながるおそれがある」として、注意喚起している。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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