環境NGO「日本の気候変動対策は61カ国中45位」

11月12日に最終日を迎えるCOP26で、「気候行動ネットワーク(CAN)」など3つの環境NGOが9日、61カ国・地域各国の温室効果ガスの排出削減目標など気候変動対策を評価し、ランキング化した。日本は45位だった。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

ランキングを発表したのは、独環境NGO「ジャーマンウォッチ」、「ニュークライメート・インスティテュート」、「気候行動ネットワーク(CAN)」の3団体。2005年から気候変動対策を評価した「気候変動パフォーマンス・インデックス(CCPI)」をつくっている。

今年はベトナム、フィリピン、コロンビアが加わり61カ国・地域が調査対象となり、対象国の総排出量は世界全体の9割以上を占める。

順位は対策が十分な国・地域はないとして、1~3位は今回も「該当なし」となった。

最高位の4位はデンマーク(スコア76.92)、5位スウェーデン(同74.46)、6位ノルウェー(同73.62)と再生可能エネルギー比率の高さなどが評価された北欧諸国が上位に入った。

以下第7位英国(同73.29)、第8位モロッコ(同71.64)、第9位チリ(同69.66)、第10位インド(同69.22)であった。

中国は37位(スコア52.66)、米国は55位(同37.90)だった。

日本は45位(同48.94)で、5段階評価で下から2番目のグループ(34~49位)だった。昨年の48位から順位は上げたものの、2030年度までの削減目標の大幅引上げは評価された一方、実現具体策の欠如がマイナス要因となった模様でスコアは昨年と同スコアだった。

CCPIは「温室効果ガス排出量」「再生可能エネルギー」「エネルギー使用」「気候政策」の4カテゴリー14指標スコアに基づき、気候変動やエネルギー問題の専門家の協力を得て分析される。

「温室効果ガス排出量」や「エネルギー使用量」では人口1人当たりの量が算出され、「再生可能エネルギー比率」では水力を除く割合と含む割合、「気候政策」は国内政策と国際政策の両面が評価される。

CCPIは、「全てのインデックスで高評価に価するパフォーマンスを発揮している国はない。従って上位3位は空のままだ。デンマークは最高ランクの国だが、高評価に価するパフォーマンスではない」と総括した。

ランキングは次の通り。

(非常に高い評価)
1~3位:該当なし。

(高い評価)
4.デンマーク、5.スウェーデン、6.ノルウェー、7.英国、8.モロッコ、9.チリ、10.インド、11.リトアニア、12.マルタ、13.ドイツ、14.フィンランド、15.スイス、16.ポルトガル、17.フランス、18.ルクセンブルク。

(普通の評価)
19.オランダ、20.ウクライナ、21.エジプト、22.EU、23.フィリピン、24.ギリシャ、25.コロンビア、26.ラトビア、27.インドネシア、28.クロアチア、29.メキシコ、30.イタリア、31.タイ、32.エストニア、33.ブラジル。

(低い評価)
34.スペイン、35.ニュージーランド、36.オーストリア、37.中国、38.ルーマニア、39.南アフリカ、40.スロバキア、41.キプロス、42.トルコ、43.ベトナム、44.ブルガリア、45.日本、46.アイルランド、47.アルジェリア、48.ベラルーシ、49.ベルギー。

(非常に低い評価)
50.スロべニア、51.チェコ、52.ポーランド、53.ハンガリー、54.アルジェリア、55.米国、56.ロシア、57.マレーシア、58.オーストラリア、59.韓国、60.台湾、61.カナダ、62.イラン、63.サウジアラビア、64.カザフスタン。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #COP26#SDGs#環境

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