環境省が11月15日に公表した「COP26 結果概要」の資料に「石炭」「天然ガス」の文言が入っていないことが波紋を呼んでいる。今回のCOP26では「石炭」の使用を巡り、交渉が難航し、会期を一日延長した。環境問題に詳しい専門家らから、「会議の状況を適切に伝えていない」という批判が出た。(オルタナS編集長=池田 真隆)

「COP26 結果概要」に「石炭」の文字はない。事実を正直に伝えることが求められる

COP26は英国グラスゴーで10月31日に開幕した。130カ国以上から首脳が集まり、気候変動対策を話し合った。

会期は11月12日までの予定だったが、石炭の使用を巡り、交渉がもつれ、13日まで延長して合意文書を採択した。アロック・シャルマCOP26議長は、文書に石炭火力の「段階的廃止」という文言を入れていたが、インドや中国が反対して、「段階的削減」に変わった。

石炭火力からの脱却を目指していたアロック・シャルマ議長は檀上で「深くおわびする」と謝罪し、言葉を詰まらせながら涙した。

環境省が公表した資料は6ページに渡って、COP26 の交渉結果をまとめたもの。岸田首相が2日の世界リーダーズ・サミットに登壇し、今後5年間で途上国に100億ドルの支援を表明したことなどについて、「多くの参加国・機関から高い評価と歓迎の意が示された」と書いた。

一方、岸田首相が登壇した同日に日本が「化石賞」を受賞したことについては記述が無かった。化石賞は、環境NGOなどがCOPの国際交渉で温暖化対策に消極的だった国に与える不名誉な賞だ。

COP26に参加した山口壮環境相は16日の記者会見で、資料に「石炭」が入っていないことについて、「締結国には、2030年までに野心的な緩和策を策定することが義務付けられている。野心的な緩和策の中に、石炭火力の削減も含まれている。そのため、石炭という文言を使わなかった」と説明した。

国際環境NGO 350.orgの横山隆美代表は、石炭火力に対する日本の方針、国際社会からの見られ方について、「正直に書くべき」と指摘する。加えて、COP関連の報道の仕方についても疑問を呈した。

「多くの記事で、石炭が焦点になっていたことは書かれていたが、石炭に対する日本の向き合い方について深く考察した記事は少ない」

日本は7月に改訂したエネルギー基本計画で、2030年における石炭火力の使用量を「19%」とした。改訂によって石炭火力の使用量を削減したが、横山代表は、「先進国として温暖化を悪化させた責任を持つべき」と強調する。

「石炭火力について、先進国は『段階的廃止』を選んでいる。先進国の日本はその中に入っていない。このことを多くの人に知ってほしい」と話した。