米調査会社ロジウム・グループは1月10日、米国の温室効果ガス排出量が2021年に「前年比6.2%増」と再び急増したとの調査結果を明らかにした。米ワシントンポスト紙やCNNなど複数のメディアが報じた。バイデン大統領が2030年末までに掲げる、野心的な気候変動目標の達成から大きく外れたままであることを示す結果となった。(オルタナ副編集長
=山口勉)
ロジウム・グループが発表した調査報告書によると、石炭火力発電が17%増加し、温室効果ガス排出量は前年比6.2%増となった。排出量はコロナ禍前のレベルを下回ったものの、2014年以来、化石燃料への依存度が初めて年間ベースで上昇した。
多くの専門家が米国内排出量の増加は今年も続くと予想している。これは経済が回復しつつあることの表れだ。しかし、それは同時に気候危機の現実をも示唆している。
米国はまだコロナウイルスの大流行から脱却しておらず、より環境負荷の低い経済を実現していない。このためバイデン大統領が2030年までに同国の温室効果ガス排出量を半減させるという公約を実現するのはより困難な状況だ。
同報告書の共著者でロジウム・グループの国際エネルギー・気候研究を率いるケイト・ラーセン氏は、「理想的な世界では、経済は回復しても、排出量は回復しないでほしい」と同紙のインタビューで語った。