「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」決まる

日本自動車会議所はこのほど、第1回目となる、「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」の受賞事業を発表した。19 件の「グッドパートナーシップ事業」が選定され、「大賞」は茨城県境町の「公共交通機関の空白地域における地域住民の手でなしとげた国内初の自動運転バスの社会実装に向けた諸活動」が選ばれた。(オルタナ副編集長=山口勉)

第1回目「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」の受賞事業が決定した

「クルマ・社会・パートナーシップ大賞」は、2021年9月、同会議所と日刊自動車新聞社が共催で創設した。日本で自動車関係の仕事に就く人は550 万人いる。それらの人々と、自動車ユーザーによるさまざまな取り組みを、世の中に広げるのが目的だ。

11 月までの応募期間に、日本全国から 75 件の応募があった。

受賞事業は大賞の他、部門賞となる「モビリティ・ソリューション賞」、「SDGs 貢献賞」、「地域・コミュニティ活性化賞」、「自動車ユーザー連携賞」、選考委員会から特別に表彰の対象としたいとされた「特別賞」の各事業が決定した。

選考委員会委員長の鎌田実東京大学名誉教授は、選考過程について「応募事業は、大変クオリティが高いものが多く、本来順位を付けることはできないものであるため、難しい議論となった」と述べ、受賞理由について次のように語った。

「大賞となった茨城県境町の自動運転バス社会実装の取り組みは、公共交通網が脆弱な地域で、行政や協力事業者のイニシアチブはもちろん、住民が大きな役割を果たしている。CASE・MaaS の潮流の中で、一つの方向を示しているものとして高く評価された」

表彰式は 2 月 7 日に、都内会場で開催する。

受賞事業は以下のとおり。

1.大賞

・公共交通機関の空白地域における地域住民の手でなしとげた国内初の自動運転バスの社会実装に向けた諸活動(境町、茨城県境町)

2.部門賞

(1)モビリティ・ソリューション賞
・妊婦の方等が事前登録で簡単に緊急時にタクシーを呼ぶことができる全国初となるサービス「陣痛タクシー」(日本交通、東京都千代田区)

(2)SDGs貢献賞
・損害車・水没車のリユース・リサイクル「カー・トリアージ」の推進や終末期患者を希望の場所までお連れする「願いのくるま」等の諸活動(タウ、埼玉県さいたま市)

(3)地域・コミュニティ活性化賞
・過疎地域にある自動車整備事業者が連携した「琴浦モビリティグループ」による地域の自動車モビリティ確保に向けた取り組み(赤碕ダイハツ、鳥取県琴浦町)

(4)自動車ユーザー連携賞
・東日本大震災後の被災者支援としてカーシェアリングなどクルマを活用した新しい支え合いの仕組み作りに向けた活動(日本カーシェアリング協会、宮城県石巻市

3.特別賞

・地域での公共交通機関による社会貢献として、外出時の乗合・ママサポート・お墓参りサポート等の「おでかけサポート事業」の取り組み(第一交通産業グループ、福岡県北九州市)

・地域整備事業者によるエネルギー・資源の地域内循環実現に向けた、整備工場の省エネや環境対策等の取り組み(前野モータース、岩手県葛巻町)

その他の選定事業は以下のとおり。

・主に高齢者の外出促進に向けて愛知県豊明市で構築した地域のオンデマンド型乗り合い送迎サービス「チョイソコ」(アイシン、愛知県刈谷市)

・歴史ある街並みの中で電気自動車による観光事業であり、住民の足にもなっている「グリスロ潮待ちタクシー」(アサヒタクシー、広島県福山市)

・免許取得段階でエコドライブが自然に身に付き、卒業生が全員エコドライバーとなる独自の教習カリキュラム「楽エコ教習」(臼田ファインモータースクール、埼玉県さいたま市)

・自動車の精緻な解体・分別を通じたリサイクルシステムの世界展開による資源循環社会の構築に向けた諸活動(会宝産業、石川県金沢市)

・地球のチカラ(重力)だけで走るクルマ「ゼロエミッションのソープボックスダービー(SBD)カー」普及活動(日本ソープボックスダービー協会、神奈川県秦野市)

・地域におけるタクシーの特性を活かした「防災レポーター制度」「タクシーこども 110 番」「ながら見守り連携事業」などの地域支援の諸活動(東京ハイヤー・タクシー協会、東京都千代田区)

・電気自動車の普及を通じ「防災対策」「環境」をはじめとした地域課題の解決に向けて自治体等とも協働する「ブルー・スイッチ活動」(日産自動車、神奈川県横浜市)

・普及・拡大初期の着用徹底と正しい使用法の啓発に取り組んだ「チャイルドシート安全装着キャンペーン」(日本自動車部品工業会安全装置部会、東京都港区)

・寄付活動・クラウドファンディングや送客活動によるコロナ禍で苦しむ地元商店を応援する諸活動(ネッツトヨタニューリー北大阪、大阪府豊中市)

・日本の快適なトイレ環境をイベントや災害時などの仮設トイレでも実現した「7ブーストイレカー」「多目的トイレカー」の開発(ベクセス、静岡県浜松市)

・車に関心の高い特別支援学校生とのやり取りから始まった就業体験支援や積極的採用等の取り組み(北陸マツダ、石川県野々市市)

・地域の保育園・幼稚園等での子供たちへの交通安全教室の開催や車への関心を高めるキッズ整備士体験会等を行う取り組み(ホンダカーズ埼玉、埼玉県さいたま市)

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山口 勉(オルタナ副編集長)

大手IT企業や制作会社で販促・ウェブマーケティングに携わった後独立。オルタナライターを経て2021年10月から現職。2008年から3年間自転車活用を推進するNPO法人グリーンペダル(現在は解散)で事務局長/理事を務める。米国留学中に写真を学びフォトグラファーとしても活動する。 執筆記事一覧

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キーワード: #CSR#SDGs

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