救援活動にどう活きる?トンガの義援金・支援金

大規模噴火の影響で、津波や降灰の被害を受けたトンガ。甚大な被害を受けた人々の助けになりたいという思いから、日本でも義援金や支援金募集のプロジェクトが始まっている。海外、そしてコロナ禍での救済活動で、私たちの寄付はどのように活用されるのだろうか。(非営利組織評価センター=村上佳央)

トンガの国旗

トンガ大使館が義援金の受け付けを開始

駐日トンガ王国大使館は1月28日、公式の義援金受け付けを開始した。義援金受け付け口座を公開するとともに、必要な物資については現在確認しており、物資の送付は控えてもらうように呼び掛けている。

「義援金」とは被災者に分配されるお金のこと。日本国内の義援金の場合は、行政や日本赤十字社などが主導して行い、配分委員会によって義援金の100%が公平に被災者に分配・配分されるものである。そのため基本的には被災地での救命・復旧活動には使われず、被災者数などを把握し均等に分配するために被災者に届くまで時間が掛かる特徴がある。

海外救援の実績がある非営利団体がいち早く活動

義援金に対して、被災地での救命・復旧活動などに速やかに役立てられるお金を「支援金」と呼び、支援団体を通して被災者へ届けられる。

1月25日、日本赤十字社はトンガ赤十字社に対して2000 万円の資金援助を行うとともに、「トンガ大洋州噴火津波救援金」の募集を開始した。被災者に対する保健衛生、安全な水の確保、こころのケア、家屋の修繕やテントの供給、生活支援金支給などの援助計画を立てている。

また、1月19日に公益財団法人日本財団が「トンガ救援基金」にて支援金の寄付を開始し、日本財団からも1億円を拠出した。具体的な援助計画はまだ公開されていないものの、トンガ王国への支援に活用される見込みだ。

赤十字社は楽天グループの決済手段が利用できる楽天クラッチ募金、Tポイントからも寄付ができるYahoo!基金などが窓口になっている。日本財団もメルカリなどの企業と連携して誰もが寄付できる様々な窓口を設けている。

寄付金を運営費に充てるのは良くないのか

寄付金はできるかぎり支援団体の運営費ではなく、被災地のために使ってほしいと思う人は多いだろう。

日本赤十字社は、過去のNHK海外たすけあいキャンペーンにおいて寄付総額の94%を実際の海外支援活動に充てていることを公開し、日本財団は今回のトンガ救援基金で「間接経費をいただくことなく、甚大な被害を受けたトンガ王国への支援に活用いたします」と表明している。

みなさんが他の噴火被害救援プロジェクトに寄付する場合、そのプロジェクトを行うのが認定NPO法人であれば、寄附総額の70%以上を非営利活動の事業費に充てていることが客観的に確認された団体である。

しかし、寄付から運営費を捻出するのは良くないことなのだろうか。

被災地の救援には現地に赴くスタッフだけではなく、日本から事務手続きのサポートを行うスタッフも必要だ。また、日本におけるNPO法人(認定NPO法人・特例認定NPO法人を除く)の職員給料の中央値はわずか210万円に留まっている。

スタッフに適切な給与を支払い、盤石な事務局体制を整えることで「寄付金があるのに人手が足りない」状況を阻止し、むしろ効率の良い資金活用につながるといえる。

寄付総額における事業費の割合の他に、寄付が適切に使われたかどうか確認する、もっと良い方法がある。寄付を適切に使用した信頼ある団体であれば、きっとあなた宛ての活動結果の報告やお礼のメッセージが届くはずである。もしあなたがトンガに義援金・支援金を送られるなら、ぜひ結果報告まで見届けることをおすすめしたい。

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公益財団法人 日本非営利組織評価センター

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キーワード: #NPO#寄付

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