年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2月7日、リコー、日立製作所、東京海上ホールディングス、三菱UFJフィナンシャルグループの4社の統合報告書を「最も優れている」と公表した。GPIFの国内株式を運用する5つの機関が国内で発行された統合報告書を読み比べ選定した。「優れている」と評価したのは77社で、そのうちこの4社の統合報告書を「最も優れている」と評価した。(オルタナS編集長=池田 真隆)
GPIFが依頼した5つの運用機関は統合報告書を調べ、「優れた統合報告書」と「改善度の高い統合報告書」の2種類に分けた。「優れた統合報告書」には昨年と同じ77社、「改善度の高い統合報告書」には100社(昨年94社)を選んだ。
「優れた統合報告書」に選ばれた77社のうち、5つの機関すべてから高い評価を得たのは、リコー、日立製作所、東京海上ホールディングス、三菱UFJフィナンシャルグループの4社。4つの機関から評価されたのは、オムロンと伊藤忠商事の2社だった。
4年連続で「優れた統合報告書」に選ばれたリコーは、2025年に「はたらく場をつなぎ、はたらく人の創造力を支えるデジタルサービスの会社」を目指す。統合報告書では、その実現に向けた中長期の価値創造プロセスや重要な戦略の方向性と取り組みを具体的な事例を用いて掲載した。
運用機関は、創業の精神を原点としたサービスで顧客の生産性向上につなげている点が具体的な道筋で描かれていた。定量情報も豊富で、説得力があったとコメントした。また、投資家が開示を期待するESG項目についても事業戦略に紐づけて記載したことが評価につながった。
■運用機関が求める「統合報告書」とは
GPIFでは運用機関が重視する統合報告書の書き方や記載内容を公表した。例えば「トップメッセージ」については、「トップ自らの言葉で語り、普段の説明会などでの発信と整合的であること。ステークホルダーへ向けたメッセージとして企業価値やサステナビリティに関する考えを明確に示すこと」を重視すべきと書かれている。