一般社団法人グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)などは2月28日、会員企業・団体のSDGsの進捗度を調べたレポートを公開した。国連が2015年に採択したSDGsの認知度は8割を超え、十分に浸透したといえるが、一方で企業を見る目も厳しくなった。背景には、科学的に明らかになった気候危機の深刻さがある。GCNJは「自己基準でSDGsに貢献していると言うだけでは不十分になった」とし、企業は外部不経済を内在化することが重要だと訴える。(オルタナS編集長=池田 真隆)

外部不経済の内在化はSDGs認知8割時代の新しいものさしだといえる

GCNJは国連グローバル・コンパクトの「日本支部」として2003年にできた団体だ。本家の国連グローバル・コンパクトは人権・労働・環境・腐敗防止の10原則とSDGsを実践し、持続可能な成長を目指す世界的な組織だ。GCNJの会員数は457(2022年2月)にのぼる。

GCNJは気候変動などに関する政策研究を行う公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)と組んでこのほど、会員を対象にSDGsの進捗度を調べた。アンケートで聞いた項目は、「SDGs の認知・浸透度」、「ジェンダー平等」(ゴール 5)、「はたらきがい・人権」(ゴール 8)、「循環経済」(ゴール 12)、「気候変動」(ゴール 13)、「腐敗防止」(ゴール 16)、「上記ゴール以外の重点課題への取り組み状況」など。437社に送り、223社から回答があった。

情報開示や中長期目標の設定は進むが、特に人権やジェンダーなどについては「実効性」を課題として挙げた。

「SDGs の認知・浸透度」に関しては、中間管理職と従業員の認知度の低さが長く課題となっていたが、それぞれ40%近く増加し、認知は約8割に及んだ。

「ジェンダー平等」に関しては、女性活躍推進法などの国内法令に対する「コンプライアンス」として、制度構築や情報開示などは進んだと一定の評価はしたが、社会・経済に構造化された性差別の撤廃や性別役割分業を前提とした仕組みや意識の変革がSDGsで求められているため、「女性活躍」からジェンダー平等の推進にシフトチェンジすることが必要だと指摘した。

そうした取り組みがグローバルに通用する実効性の高い取り組みになるとし、「女性活躍」「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)」の基盤づくりとしても有効であると説明した。

「はたらきがい・人権」に関しては、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(指導原則)で示した方針・コミットメント、是正・ 救済について何らかに取り組む会員企業・団体は 90%に及んだ。

ただし、人権デューディリジェンスへの取り組みは約75%に留まった。人権尊重は労働者だけでなく、消費者、地域住民も含めた課題であることの認識が全体として「弱い」とし、指導原則内に具体的に示す項目の実施、見直しを喫緊の課題だと示した。

「気候変動」に関しては、約7割が2050年に向けたネット・ゼロ目標を設定し、約8割がスコープ1とスコープ2の温室効果ガス排出量を把握していることが分かった。半数以上が気候変動のリスクと機会を特定して企業戦略に統合しており、気候変動関連情報開示の高まりに対応していた。今後の課題として、脱炭素化にかかるコスト削減や技術的な課題の解決への支援が必要だとした。

「経営戦略にSDGsを組み込んでいる」と選択した会員は8割以上だったが、この調査を担当した小野田真二・IGES持続可能性ガバナンスセンター研究員は、「SDGs達成のための行動としてはまだ不十分」と指摘する。社会の持続可能性に組織の持続可能性を一致させていくことが、「SDGsの達成に真に貢献する企業・団体になるための重要なステップ」だと話した。

特にゴール 5、8、16 が対象とする「ジェンダー平等」、「はたらきがい・人権」、「腐敗防止」の取り組みに関しては、グローバルで事業の展開を考えている企業にとっては取り組みの見直しを求めた。