IPCC報告書を読み解く、知っておくべき5つのこと

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が最新の報告書(AR6/WG2)を発表しました。世界有数の気候科学者たちによる、気候変動の影響と、その影響にどのように、どの程度まで適応できるかまとめた、最新の大規模な評価です。

いくら気候変動に関心があっても、何千ページにも及ぶ膨大な資料に目を通す時間はありませんよね。この記事では、IPCC第6次評価報告書第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)について、知っておくべき5つの重要なポイントをご紹介します。

2020年7月には、熊本県人吉市を中心に九州を襲った豪雨が、洪水や地滑りを引き起こした
2020年7月には、熊本県人吉市を中心に九州を襲った豪雨が、洪水や地滑りを引き起こした

IPCCとは?
IPCCとは、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画 (UNEP)により設立された国連の「気候変動に関する政府間パネル」のことで、国連が招集した195の加盟政府と数千人の第一線の科学者・専門家からなるパネルです。 IPCCは、人為的な気候変動のリスク、その潜在的な影響、及び適応と緩和方策について、科学的、技術的、社会経済的な側面から、各国政府に提供する研究報告書の発行を行っています。

2022年2月28日に発表された報告書は、昨年8月に発表された第6次評価報告書の第1作業部会報告書(自然科学的根拠)に続く、第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)です。残りの第3作業部会報告書も今年発表される予定です。

IPCCは各国の政策決定に干渉することなく、専門的な立場から、報告を行っています。 グリーンピースはIPCCの公式オブザーバーであり、レビューに参加する権利を有しています。

1. 気候変動による影響は、より早く現れ、より深刻になっている

すでに自然環境や人々にさまざまな損失と被害(ロス&ダメージ)をもたらし、生命、家屋、生活、文化を破壊している気候変動の影響は、さらに悪化することが予測されます。

IPCCは今回、将来の温暖化レベルに関する「懸念の理由」の総合評価を更新し、前回のIPCC第5次評価報告書よりも低い温暖化レベルで、気候変動リスクが「高い」か「非常に高い」レベルまで増加すると結論づけました。つまり、温暖化の生態系への影響は、今までの予想よりも早く、広い範囲で起きていて、予想よりもさまざまな結果をもたらしているのです。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #脱炭素

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