若者に広がる慢性的な不安、「気候恐怖症」とは

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近年メンタルヘルス関係者の間でclimate anxiety(気候不安症)あるいはeco anxiety(エコ不安症)と名付けられた新概念が注目されている。気候変動問題を懸念する人々が慢性的な恐怖心(不安、無力、喪失、絶望、罪悪、怒りなど)に苛まれる状況をいう。(もり ひろし)

Z世代を中心に気候正義を訴えるデモ活動が世界で起きている

あくまで同語は正式な医学用語ではない。しかし、その存在可能性を指摘する調査・研究は増えている。

例えば2020年に米国精神医学会(精神障害の国際的判断基準を定めている組織のひとつ)が報告した調査によれば、アメリカ国内の若年層(18歳から34歳)の48%が気候変動問題に起因する精神的ストレスを感じていると答えた。

この調査をはじめ、多くの調査・研究で若年層への影響を指摘している点が注目される。若い世代ほど気候変動問題がより差し迫った課題(エネルギー・食糧・健康・災害などの課題)になる点が背景にある。

対処方法の提案も行われている。多くの提案では、関連する情報・報道などから若干の距離を置くことや、負の感情ではなく正の感情に注目すること(例えば身近な気候変動対策に注力すること)などを勧めている。

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もり ひろし(新語ウォッチャー)

新語ウォッチャー。国語辞典の新項目執筆を中心に活動。代表的な連載に「現代用語の基礎知識」の流行観測欄(2010年版~)など。執筆記事一覧

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