ネスレCEO「共通価値の創造抜きに成功はない」

ネスレのマーク・シュナイダーCEOは、「アニュアルレポート2021」「CSV & サステナビリティレポート2021」を公表した。同氏は「長期的な共通価値の創造抜きに成功はないと私たちは信じて来た」と強調した。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

ポール・ブルゲ議長(左)とマーク・シュナイダーCEO(右)(写真:ネスレホームページ)

アニュアルレポートでは、「重要な非財務パフォーマンス」として、「私たちは、社会的および環境的取り組みを通じて共通価値を創造します」と述べられ、「非財務コミットメント」が4点紹介されている。

1.2050年までに温室効果ガス排出量ゼロ
2025年までにスコープ1、2、3を20%削減し、2030年までに50%削減する(対2018年基準)

KPIは、2018年以降のプロジェクトを通じて削減した温室効果ガス排出量(CO₂e)は2021年には970万を追加し合計1370万トン削減した。進捗はオンライン。

2.2022年末までに肉、パーム油、 パルプと紙、大豆と砂糖の森林破壊のないサプライチェーンを構築する
KPIは、2021年の森林破壊のないサプライチェーンは97.2%である。進捗はオンライン。

3.使用プラスチックを2025年までに3分の1に削減する
KPIは、2018年基準年比で2021年は、包装に使用するプラスチックを8.1%削減した。進捗はオンライン。

4.2022年までにトップ200以上のシニアエグゼクティブポジションの女性比率を30%に増やす
KPIは、トップ200以上のシニアの女性幹部職は27.2%である。進捗はオンライン。

また2021年のハイライトとして、「新しい植物ベースのキットカットV」「持続可能性委員会」などを記している。

「CSV & サステナビリティレポート2021」では、「新しい人権フレームワークとロードマップ」「高品質の食材と環境に向けた農家への技術的、科学的、財政的支援の提供」「ネットゼロと食品エコシステムのため、2025年までに12億スイスフラン(約1600億円)を投資し、2030年までに再生農業の実践を通じた主要な原材料の50%調達の実現」などが記されている。

マーク・シュナイダーCEOは「共通価値の創造は、常に私たちネスレのビジネスの基本である。私たちの会社は、株主と社会の両方に対する長期的な共通価値の創造抜きに成功はないと私たちは長い間それを信じて来た」と強調した。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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