4月からプラ新法、「関心は日本が最下位」とWWF

4月1日にプラスチック資源循環法(プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律)が施行された。プラスチック製品の生産から廃棄まで、ライフサイクルを通した資源循環を目指すのが主な目的だ。プラごみ削減に向け、一層の取り組みが必要だが、WWFジャパンは「調査によると、日本は世界の先進28カ国中でもプラごみ問題に対する意識が最下位だ」と指摘する。(オルタナ副編集長=山口勉)

上げ潮(RISING TIDES)と題したWWFの報告書

■関心は28ヵ国中最低ランク

新法の施行に先立ちWWFは、オーストラリアのNPOプラスチック・フリー・ファンデーションと共同で、『上げ潮(rising tides)』と題し、プラスチック汚染に対する意識調査をまとめた報告書を公表した。

同調査は、世界28ヵ国でプラスチック製の容器包装の削減に対する関心の高さを聞くもので、2万513人から回答を得た。(※)

質問は以下の4項目だ。

1.プラスチック汚染を減らすための国際的な拘束力を持つ条約は、どの程度重要だと思うか。
2.可能な限りプラスチックを使用していない商品を買いたい。
3.容器包装などワンウェイプラスチックの使用は1日も早くやめるべきだ。
4.製造業者は、プラスチック容器包装の削減、リユース、リサイクルに責任を持つべきだ。

その結果、4項目全てで日本は「重要だ」「そう思う」といった、プラスチック容器包装の削減、使い捨てプラスチックの禁止に対する市民の態度が、世界28か国中最も低いという結果だった。

最も意識が低かったのは質問3で、「とてもそう思う」「ある程度そう思う」と回答した割合が最も高かったコロンビアの89%に対し、日本ではわずか37%に留まった。28ヵ国の平均でも78%だった。

調査結果についてWWFジャパンプラスチック政策マネージャーの三沢行弘氏は、「日本にはプラごみの分別収集などを通じ、リサイクルが特に進んでいるという意識があるのではないか。さらに改善の余地が大きいことを認識した上で、一人一人がより積極的に関わる気持ちが必要だ」と危機感を隠さない。

■企業は次の段階の取り組みを

プラ新法では、フォークやスプーン、歯ブラシなど12種類を、特定プラスチック使用製品に指定し、削減を求める。

ホテルチェーン大手のヒルトンは、客室で提供するアメニティの脱プラを2019年から進めている。それまでプラスチック容器で提供していたシャンプーやコンディショナーなどの使い切り少量ボトルを、備え付けの大容量ボトルに切り替えた。プラ包装されていた室内用スリッパもペーパーバンドに変更するなどの取り組みを進めている。

ヒルトン広報渉外部の尾上恵美子氏は「今までもプラスチック削減に積極的に取り組んできており、プラスチック新法に準じた具体的な取り組みも検討している。今後も更なるプラスチック削減に向けて取り組んでいく」と意欲を述べた。

飲食チェーンのワタミは3月から、プラ新法の施行に合わせ、「から揚げの天才」など一部の店舗で提供するカトラリー(スプーン、フォーク、ナイフ)をプラスチック製から木製に順次切り替えている。

これにより、年間4トンの使い捨てプラスチック削減につながるという。調達を担当したワタミ仕入開発部の天笠翔太氏は「ワタミの外食店舗を利用してもらうことで、プラスチック以外の素材に触れる機会を提供し、環境を意識するきっかけづくりに貢献したい」と熱を込めた。

三沢氏は「企業にはより多くのオプションを用意してほしい。ペットボトルの水平リサイクルや、詰め替えパックの次の段階として、持参したボトルへのリフィルや量り売りなど、選択肢が増えることで生活者が実践しやすくなるのではないか」と一層の企業努力を促す。

(※)元となる調査は、仏パリに本社を置くマーケティングリサーチ会社のイプソスが行なった。調査対象は米、独、仏、ブラジル、南アフリカなど世界28ヵ国で、2021年8月から9月にかけてオンラインで実施し、16歳から74歳の2万513人から回答を得た。

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山口 勉(オルタナ副編集長)

大手IT企業や制作会社で販促・ウェブマーケティングに携わった後独立。オルタナライターを経て2021年10月から現職。2008年から3年間自転車活用を推進するNPO法人グリーンペダル(現在は解散)で事務局長/理事を務める。米国留学中に写真を学びフォトグラファーとしても活動する。 執筆記事一覧

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キーワード: #SDGs#脱プラスチック

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