EO ESGアワード:最優秀賞にデコボコベース

若手起業家の世界的組織であるEntrepreneurs’ Organization (EO)の日本支部は4月14日、帝国ホテルで「EO ESGアワード」を開いた。当日は事前審査を通過した5人の起業家が自社のESG(環境、社会、ガバナンス)領域の取り組みをプレゼンした。最優秀賞には全国で障がい者福祉施設を運営するデコボコベース(東京・港)の上岳史社長が輝いた。(オルタナS編集長=池田 真隆)

自社の取り組みをプレゼンするデコボコベースの上社長=4月14日、帝国ホテルで

最優秀賞に輝いたデコボコベースは全国に障がい者福祉施設を209拠点運営する。未就学児を対象にした児童発達支援から自立支援、就労支援など幅広く事業を展開する。

上社長は子どもの頃、周囲に合わすことを求める日本の教育に生きづらさを感じて、高校2年生で奨学金をもらい米国に留学した。帰国後、上智大学に入学すると在学中にアルファグループを創業、32歳でJASDAQに上場した。

その後、事業をMBOした2014年にデコボコベースを立ち上げた。社名のデコボコには、発達障がいだけでなくダイバーシティやジェンダーなどを含める。あらゆる人が発達に対して抱える課題を「特性」として捉えることを示した。

上社長は「ぼくらのゴールは発達障がいを持つ人が納税する側になること」と強調する。

デコボコベースは株式会社だが、自らを「ソーシャルカンパニー」と位置付ける。「株式会社とNPO法人の中間に位置するのがソーシャルカンパニー。事業で得た資金は企業価値の向上ではなく、ビジョンの実現のために投資する。内部留保は貯め込まないし、上場も目指さない。働きたくても働けない障がい者約300万人を就労させる」と意気込む。

全国47都道府県の8割に福祉施設を構えるが、地域格差をなくすため47都道府県すべてに設置する計画を持つ。

障がい者300万人の就労のために、ソーシャルフランチャイズという新しい概念を提唱する。ビジョンに共感した企業の集まりで、「仲間」は100社を超えたという。

審査員の山口壮環境相は、「地域の活性化に大きな光を届けている」と評価した。

審査員を務めた山口環境相

主催団体のEOは1987年に米国で生まれた。年商1億円以上の若手起業家が入会できる組織で、現在57カ国に支部を持つ。

EO日本支部の「Tokyo Central」は世界最大の会員規模を誇る。会員数は304人、会員企業の総売上高は約6400億円に及ぶ。

今回のアワードはTokyo Centralに所属する会員から出場者を募集し、社会課題の解決につながる事業を行う起業家を審査した。

当日は事前審査を通過した、5人のファイナリストがプレゼンした。上社長以外のファイナリストはメディアドゥの藤田恭嗣社長、WithGreenの武文智洋社長、サーキュレーションの久保田雅俊社長、タイガーブランディングの加藤明拓社長が登壇した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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