積水ハウス、GHG2030年削減目標を5割積み増し

積水ハウスは5月24日、事業活動で排出する温室効果ガスの2030までの削減目標を、従来の50%から75%に引き上げると発表した。21年度実績で46.6%の削減を実現(13年度比)したことを受け、より意欲的な目標に上方修正した。(オルタナ副編集長・長濱慎)

積水ハウスのZEBオフィス。屋根には太陽光パネル(写真:積水ハウス)

75%削減のターゲットとなるのは、スコープ1(自社からの直接排出:化石燃料の燃焼など)とスコープ2(間接的な排出:電力の購入など)だ。積水ハウスは目標達成に向けた施策として、EV(電気自動車)、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)、RE100(使用電力の100%再生可能エネルギー化)の3つを挙げている。

■業務用車両を100%EV化
積水ハウスでは、グループ全体の業務用車両(約1万1000台)のCO2排出量がスコープ1、2の約30%を占めている。現在、電動車(※)の普及率は7%だが、2030年までに100%を目指す

※電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド車など

■新築建築物をZEB化
ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)とは、断熱性向上、高効率設備、太陽光発電などにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにするビルをいう。積水ハウスは2021年6月から、活動拠点として新築するビルについては原則ZEBの基準を満たすものとしている。

■「積水ハウスオーナーでんき」
積水ハウスは、再エネ電力の固定買取価格の期間が満了(卒FIT)した住宅オーナーから余剰電力を買い取り、自社の事業用電力に活用する「積水ハウスオーナーでんき」を進めている。これにより「2040年までに事業活動で使用する電力を100%再エネにする」目標を、10年以上前倒しで達成できる見込みだ。

積水ハウス広報室はオルタナ編集部の取材に対し、こうコメントした。

「21年度に46.6%削減を達成できたのも、これら3つの取り組みを着実に進めてきたことが大きい。とくに『積水ハウスオーナーでんき』は好評で、卒FITしたオーナーの約50%という予想を上回る方々にお申し込みをいただいた。新しい技術開発も行うが、基本的には3つの取り組みを継続的に進めることで75%削減の達成を目指したい」

S.Nagahama

長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

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キーワード: #脱炭素

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