サステナとテクノロジー、連携できている企業は7%

アクセンチュアは6月28日、日本を含む12カ国560社を対象にサステナビリティとデジタルテクノロジーに関する調査を行った。すべての企業がサステナビリティ戦略を実行するためにはデジタルテクノロジーが「重要」だと答えたが、事業、テクノロジー、サステナビリティ戦略を連携している企業は、わずか7%だった。同社ではこの結果を受けて、テクノロジーを活用して、事業性とESGパフォーマンスの両立を図る3つの施策を公表した。(オルタナS編集長=池田 真隆)

アクセンチュアが行った調査は「Uniting technology and sustainability(邦題:テクノロジーとサステナビリティの統合)~サステナブルなテクノロジー戦略から最大限の価値を引き出す方法~」。日本、米国、英国、ドイツ、フランスなど12カ国11業種の売上高が10億米ドル以上の企業の最高情報責任者(CIO)、最高技術責任者(CTO)、最高サステナビリティ責任者、各部門の幹部560人を対象にオンラインで実施した。調査期間は2021年9~10月。

調査では対象企業の560社すべてが、サステナビリティ目標の達成にはテクノロジーが「重要」「非常に重要」だと回答した。一方で、サステナビリティ目標を達成するための障壁としてテクノロジーに関するソリューションや標準化の不足(40%)、複雑さ(33%)、意図しない結果に対する認識不足(20%)などを挙げた。

同社では企業の最高情報責任者(CIO)は、サステナビリティ改革を推進する上で非常に重要な役割を担うことができる「キーマン」と言い切り、戦略の策定プロセスから積極的に関与すべきとする。

しかし現状では、CIOをサステナビリティ戦略の策定メンバーに任命している企業は49%で、CIOがその目標達成における責務を担っている企業は45%にとどまった。

では、効果の高いサステナブルなテクノロジー戦略とは何か。同社は次の3つの取り組みを通じて、事業の成長と高いESGパフォーマンスの達成の両立を図ることができると説明した。

CO2排出量の削減に成功している企業の70%が人工知能(AI)を活用

調査では92%の企業が2030年までのネットゼロ達成を目指しており、そのためにはCO2排出量の測定と削減、排除を可能にする高度なテクノロジーの導入が不可欠だと答えた。生産やオペレーションプロセスでCO2排出量の削減に成功している企業の70%が人工知能(AI)を活用していることが分かった。

グリーンソフトウェアの採用

テクノロジー自体のサステナビリティを高めることも重要だ。人々がインターネットを介してテクノロジーを利用する機会が増えるにつれ、IT利用によるCO2排出量も増加している。炭素効率性に優れ、CO2排出量を意識したグリーンソフトウェアの採用、プライバシー・公正性・透明性・堅牢性・アクセシビリティに配慮した信頼性の高いシステムの構築に取り組む必要があるとした。

調査で、「ソフトウェア開発のライフサイクルにおける、全ての段階でエネルギー効率を考慮している」と回答した企業は、わずか2社であり、改善の余地が大きいことが浮き彫りになった。

業界や組織の枠を越えた連携を

グローバルな課題に取り組むには、企業が業界や組織の枠を越えて取り組む必要がある。

調査では、SDGsを達成するには43%の企業がエコフレンドリーなテクノロジーにフォーカスした業界連携、提携、アドボカシーグループなどに参加していることが分かった。

アクセンチュアの海老原城一・ビジネス コンサルティング本部 サステナビリティ プラクティス日本統括マネジング・ディレクターは、「企業は、地球・社会課題解決に成果創出と、事業成長を両立させる難しいチャレンジが求められているが、サステナビリティは後付けで対応するものではなく、ビジネスの根幹に最初から組み込まれるべきものである」と話した。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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