オルタナ総研統合報告書レビュー(16):オリックス

オリックスの再生可能エネルギー事業の設備容量は国内外で3GWに及びます。「オリックス統合報告書2021」では、多角的な事業ポートフォリオに「環境エネルギー」を入れており、再生可能エネルギーの債権・株式保有額は日本最大です。一方、化石燃料の債券・株式保有額も同様に日本最大です。一層の情報開示が求められます。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

オリックス統合報告書2021

オリックスは1995年の風力発電事業への資本参加を皮切りに、再生可能エネルギー事業を強化してきました。国内外で再生可能エネルギーの発電・電力小売・省エネルギーサービス、ソーラーパネル・蓄電池販売などを展開してきました。廃棄物の再資源化や処理事業も行っています。

国内外での再生可能エネルギー事業の設備容量は合計 3GWとなり、日本を代表する再生可能エネルギー事業者です。

同社は再生可能エネルギー事業では、発電量の最大化、設備寿命の長期化、運営管理コストの低減を図るオペレーション&メンテナンス(O&M)の重要性が高まっていると認識しています。

「オリックス統合報告書2021」に掲載した気候変動リスクを軽減するための重点分野・課題は、次の通りです。

1 GHG排出削減目標を設定する。

2 事業者および投資家として、再生可能エネルギー分野における事業発展に寄与する。

3 気候変動関連リスクの定量化とその削減に努め、TCFDの提言を継続的に順守する。

4 循環型経済の推進と廃棄物削減の適切な処理を継続する。

5 環境リスクの高い事業分野への投融資残高削減を推進するとともに、新規投融資において除外規定を明示する。

6 環境への影響を緩和するための商品・サービスの提供により、すべての関係者と共同で環境改善を促進する。

同社は、GHG(CO2)排出産業に対する投融資残高を2020年度比で、2030年3月期までに、50%削減、2040年3月期までにゼロにする目標を掲げています。

一方で前述の通り、環境団体の調査では、同社の債券・株式保有額は、再生可能エネルギーも最大、石油・ガスも最大、更に石炭、原子力を加えた総額も最大です。GHG(CO2)排出産業に対する投融資残高の進捗に関しての情報開示が求められます。

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #SDGs

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