日米のZ・ミレニアル世代、高い環境意識浮き彫りに

マーケティングリサーチ会社のGfKはこのほど、米国内約4000人に行った意識調査の結果を発表。Z世代とミレニアル世代の60%以上が環境配慮型の商品を購入したことがあり、その割合は世代が上がるほど減っていた。これとは別に、コンサルティング会社のファブリック(東京・目黒)が日本国内約6800人に行った調査でも、Z・ミレニアル世代の環境意識が高い結果となった。(オルタナ副編集長・長濱慎)

■「持続可能な製造工程」を製品選びのポイントに

GfKグループはドイツに本拠地を置き、毎年20カ国以上で消費者の意識調査を行なっている。今回は2022年における米国内の4084人への調査結果を公表した。

それによると、53%がこれまでに広告やパッケージで「環境への配慮」を訴求した製品の購入経験があると回答。特にZ世代は62%、ミレニアル世代は67%と高く、その割合は世代が上がるほど低下し、プレブーマー世代(1945年以前の生まれ)では59%が購入経験がないことが明らかになった。

Z世代:1998年以降の生まれ
ミレニアル世代:1980年〜97年生まれ
X世代:1965年〜79年生まれ
ベビーブーマー:1946〜64年生まれ
プレブーマー:1945年以前の生まれ

過去6カ月間の買い物でブランドを選択した理由については、「地元で生産」や「リサイクル」が全世代共通の理由となった。これに対し、「天然資源の利用」と「持続可能な製造工程」の2つは、Z世代とミレニアル世代が突出している。


調査結果を受けてGfKは「今後、Z世代やミレニアル世代をターゲットにマーケティングをしていく上で、企業やブランドの環境保全に関する積極的な情報発信がより強く求められるだろう」と結論づけた。

■「サステナビリティのためなら2倍払ってよい」Z世代も

一方のファブリックは、日本国内の15〜69歳6800人に調査を行い、その結果を「日本におけるサステナビリティの現状2022」にまとめた。130ページを超えるレポートにはさまざまな調査結果が見られるが、興味深いのは「サステナビリティに対するプレミアム(追加料金)の支払い」(46〜47ページ)だ。

サステナブルな製品に追加料金を払って良いという考えは全世代共通で、Z世代とミレニアル世代特有というわけではない。しかし価格の許容度で見ると「2倍の追加料金を払っても良い」と答えたのはZ世代が目立って多い結果となった。

最下段の「=100%」が「2倍」を意味する。
Z世代:1997〜2007年生まれ
Y世代:1981〜1996年生まれ=ミレニアル世代
X世代:1965〜1980年生まれ
ベビーブーマー世代:1953〜1964年生まれ
「日本におけるサステナビリティの現状2022」47ページより

レポートはこの結果を受けて「サステナビリティは、消費者が自動的にプレミアムを支払うことを意味するわけではない。企業はビジネス全体を見直す必要があり、時間がかかるプロセスであるものの、消費者ニーズに向けたイノベーションを怠るよりはリスクが少ない」と指摘する。

消費者の意識の高さに甘えず、できるだけコスト負担を軽減できるようイノベーションに取り組む姿勢が、より一層重要になるだろう。

S.Nagahama

長濱 慎(オルタナ副編集長)

都市ガス業界のPR誌で約10年、メイン記者として活動。2022年オルタナ編集部に。環境、エネルギー、人権、SDGsなど、取材ジャンルを広げてサステナブルな社会の実現に向けた情報発信を行う。プライベートでは日本の刑事司法に関心を持ち、冤罪事件の支援活動に取り組む。

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