生物多様性COP15「3歩前進2歩後退」最終会合へ

生物多様性保全の新たな国際目標策定を目指して、6月下旬にケニア・ナイロビで開かれた会合に参加した日本の参加者が7月26日、オンラインで報告会を開いた。3月のスイス・ジュネーブでの会合で「バラバラに3歩進んだ」議論が、「2歩下がって歩み寄った」という見方も。全体に膠着状態だが、日本の若者2人が現地で議論に加わるなどの成果もあり、12月のカナダでの最終会合に期待を寄せた。(オルタナ編集委員・関口威人)

ケニア・ナイロビで開かれたCOP15作業部会の様子(道家哲平さん提供)

■「都市の緑地・親水空間」など2目標は合意

国連の生物多様性条約締約国会議は、第10回(COP10)が2010年に日本で開かれ、10年間の国際目標「愛知ターゲット」を定めた。その後継となる「ポスト2020枠組み」を話し合う第15回会合(COP15)が、2020年からコロナ禍での延長や中断を繰り返しながら進められている。

オンライン報告会は国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)が主催する「生物多様性国家戦略を考えるフォーラム」の一環で開かれた。

冒頭、環境省生物多様性戦略推進室の担当者が全体の交渉結果を報告。23ある目標案のうち、「都市における緑地・親水空間に関する目標」と「保全等に関する能力構築に関する目標」の2つについては合意がなされたが、その他については「ジュネーブ会議から大きな進展は見られず、ジュネーブ時点より後退する場面も見られた」と説明した。

2030年までに陸と海の30%の保全を目指す「30by30」については、ほとんど議論の時間がなかったという。

■条約の制約越えた「世界」枠組みにできるか

IUCN-J事務局長の道家哲平さんも全体に「3歩進んで2歩下がる」印象があったとした上で、目標として求められる「分かりやすさ」が「簡潔」であることなのか「具体的」であることなのかといった根本的な議論が続いている状況を示した。

また、生物多様性条約では「公海」が対象外などの制約があるが、それを越えて「世界」全体の目標にすべきだという議論もあるという。道家さんは「意欲的かつ簡潔な目標とするには『世界』の枠組みとして、政治的リーダーシップで交渉の焦点を絞るべきだ」と指摘した。

若者の立場で参加した一般社団法人「Change Our Next Decade」の高田健司さんと「生物多様性わかものネットワーク」の吉川ありささんは、「定義や用語が部分的にしか合意されていない目標案もあり、科学的なデータでの定義付けが必要」「各国のユースは活発に意見を出していた」などの印象を語った。

カナダ・モントリオールでのCOP15本会合(第2部)は12月7日から19日の日程がアナウンスされている。

オンライン報告会で現地の印象などを話す「Change Our Next Decade」の高田健司さん

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関口 威人(オルタナ編集委員)

中日新聞記者を経て2008年からフリー。名古屋を拠点に防災、環境、経済、地方自治、科学技術などをテーマに走り回る。一般社団法人なごやメディア研究会(なメ研)代表理事、サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」編集委員、日本環境ジャーナリストの会(JFEJ)正会員、NPO法人「震災リゲイン」理事。

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キーワード: #生物多様性

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