記事のポイント
①カンヌ受賞作品は社会課題の解決を切り口にした作品が多い
②企業ブランディングにとって「パーパス」の重要性は増している
③企業と社会課題の関係性をどう考え、どう伝えるのかポイントを解説
世界3大広告賞の一つである「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル(通称:カンヌライオンズ)」では、今年も今後のコミュニケーションの方向を示唆する多くの受賞作品が選出された。近年はSDGs部門に限らず、社会課題にアプローチした作品が各部門で数多く受賞していたが、今年もその傾向は変わらなかった。企業が社会に対して何のために存在するのかをCSR活動のみならず、本業の企業活動で示していく、いわゆる「パーパス」が、企業ブランディングにとっては引き続き重要なものになっていくだろう。本稿では、企業コミュニケーションと社会課題の今後の関係について、受賞作品をケーススタディとして考察していく。(伊藤 恵・サステナビリティ・プランナー)
■「ただしい→たのしい」の変換
ある社会課題を解決しようと訴えることは、正しいことではあるが、人々の興味関心を高めるためには、正しいことを正しいという以外のアプローチが必要な場合もある。
どうすれば、お説教じみた退屈な主張ではなく、人々が思わず参加したくなるようなモチベーションをつくり出せるか。そこにクリエイティビティやアイデアの力が発揮された作品を見ていきたいと思う。
■漁師は二度うれしい!?「Plastic Fishing Tournament」