デル・テクノロジーズ、脱物質化で循環経済推進へ

デル・テクノロジーズ エイジャズ・ムンシフCDOインタビュー

記事のポイント
① デル・テクノロジーズは販売した製品と同量のリサイクルを行う目標を持つ
② 環境負荷を減らす「脱物質化」を進め、ビジネスそのものを循環型に変える
③ 循環経済へ移行するためのサステナビリティ戦略をCDOが語った

デル・テクノロジーズは環境負荷を減らす「脱物質化」を軸にサステナビリティを推進する。製品が古くなったときに簡単に貴金属やプラスチックを分離・回収できるように設計し、ビジネスモデルそのものを循環型に変えていくことが最終目標だ。その戦略をエイジャズ・ムンシフCDO(チーフ・デジタル・オフィサー)に聞いた。(聞き手・オルタナS編集長=池田 真隆)

デル・テクノロジーズの
エイジャズ・ムンシフCDO

――ESG戦略として4つの柱を掲げています。

ESGはグローバル全体における最重要ミッションとして位置付けています。社会に良い影響を与える事業体を目指し、創業時から「テクノロジーで人類の進歩を促進する」というミッションステートメントを経営トップから組織に浸透させてきました。

このミッションをもとに構築したのが4本柱からなるESG戦略です。「サステナビリティ」「多様性」「ライフスタイル」「倫理性」です。

4領域それぞれに2030年までに達成を目指す「ESGゴール」を設けました。サステナビリティ領域では販売した製品と同量分のリサイクルまたは再利用を行うこと、梱包材は100%リサイクル品か再利用可能なものを使うこと、製品部品の50%以上に再生可能素材を使うことを目標にしています。

設計段階から循環経済を意識しています。カーボンファイバーは340万ポンド回収し、125製品にリサイクルプラスチックを使っています。PCのトップカバーにバイオプラスチックを使っている割合は21%です。

製品の脱物質化・最適化を図っています。製品が古くなったときに簡単に貴金属やプラスチックを分離して回収できるように設計し、ビジネスモデルそのものを循環型に変えていくことが最終目標です。

多様性に関しては、グローバル全体で社員の50%、リーダーの40%を女性にすること、米国本社では社員の25%、リーダーの15%を黒人もしくはヒスパニック・ラテン系出身者を採用することを掲げています。

ライフスタイルについては、技術力でヘルスケアや教育分野で人々の生活の向上に貢献します。デジタルインクルージョンで2030年までに10億人によい影響を与えることを目指します。

最後の倫理性は、データ管理の自動化です。各領域で定めたゴールの目標の下に、さらに、サブのゴールを設けています。

――2050年までにスコープ1~3でネットゼロを目指していますが、課題は排出量が多いスコープ3です。どのように考えますか。

排出量の割合では、スコープ3が約9割を占めます。スコープ3のうち約4分の1がカテゴリー1(サプライチェーンから購入した製品やサービス)、約4分の3がカテゴリー11(販売した製品の使用)です。

中間目標として、2030年までにスコープ1は2010年比で50%削減、スコープ2は2040年までに再生可能エネルギー100%に切り替えることを掲げています。スコープ3に関しては、サプライヤーと協力して販売単価当たり60%の削減が目標です。

スコープ3対策としてデータセンターのグリーン化も進めています。米・ノースカロライナにあるデータセンターは100%クラウド化しました。

数値が低いほど電力効率が良いとされるPUE(Power Usage Effectiveness)は1.3%で、エネルギー効率を極限まで高めて、サステナビリティを念頭に設計しました。

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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