国内初の新聞紙リサイクル断熱材、山口の工務店が編み出す

記事のポイント


  1. 安成工務店は新聞紙をリサイクルした断熱材を施工した住宅を展開する
  2. 新聞紙リサイクルの断熱材は国内初、熊本地震の仮設住宅などで実績を有する
  3. 累計施工棟数は3万棟超、脱炭素や省エネ住宅義務化が追い風に

安成工務店(山口・下関)は新聞紙をリサイクルした断熱材「デコスファイバー」を施工した住宅を展開する。製造するのは関連会社のデコス(山口・下関)。国内初の新聞紙をリサイクルした断熱材として、展開以来、累計施工棟数は3万棟に上る。2016年に発生した熊本地震では仮説住宅の断熱素材として採用された実績を持つ。脱炭素需要を追い風に、需要は着実に高まる。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

熊本地震の仮設住宅ではデコスファイバーを採用した

安成工務店は山口県・福岡県を中心に戸建住宅の開発から賃貸マンションや商業ビルなどの建築を行う。「環境共生住宅」をコンセプトとして打ち出していて、グループ売上高は200億円弱だ。

「デコスファイバー」は国内で初めて新聞紙をリサイクルしたゼロ・カーボン断熱材だ。原材料の約80%が新聞紙となる。2011年には建築用断熱材として初めてCO₂排出量を計算し、カーボンフットプリントの認定を取得した。翌年には日本初のゼロ・カーボン断熱材の認定を受けた。

製造するデコス担当者によれば「もともとは米国発祥の技術。それを1970年代に日本に輸入して、そこから『デコスファイバー』が誕生した」と話す。

「デコスファイバー」の需要は着実に伸びる。施工代理店は72社、累計施工棟数は3万棟超に上る。2016年に起きた熊本地震の際には、仮設住宅で採用。「性能が高く評価され、生活再建の際には新居でも採用したいという声が上がり、熊本での売上が伸びた」という。

不動産業界では脱炭素の流れが定着する。「建築物省エネ法」の改正により2025年度には新築住宅の省エネ基準の適合義務化もスタートする。デコス担当者は「脱炭素や省エネへの需要が高まるほど、製品としての優位性を発揮できる」と話した。

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萩原 哲郎(オルタナ編集部)

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #脱炭素

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