CSRとしての震災ボランティアを考える

ニッセイ基礎研究所上席主任研究員 川村雅彦氏

3月11日の東日本大震災から二カ月が経った。この大型連休には、震災ボランティアとして東北地方に行かれた方もいることだろう。私は、4月下旬に一泊二日ながら、宮城県の被災地を訪れ、震災ボランティアの現場を見る機会があった。所属するNPOの研究テーマが「大震災後の新しいCSRを考える」となったため、伝聞ではわからない現地の状況を有志で視察することにしたのである。案内は現地に複数の活動拠点をもつRQ市民災害救援センター(本部東京)にお願いした。

最初に訪れた被災地は北上川河口に近い石巻市立大川小学校で、児童108人の7割と教職員10人が津波の犠牲となった(後日、天皇皇后両陛下が献花に来訪された)。なぜすぐ裏山に避難しなかったのか。地震から津波到達まで40分以上あったという。津波を想定していない地震マニュアルに従って、全児童を校庭に集め点呼した後、裏山に上がろうという意見もあったが、逆に川側のやや高台に向かったことが惨事につながったと聞いた。三陸地方には「津波てんでんこ」(一人ひとりがすぐに高台へ逃げろ)という防災伝承があるが、マニュアル遵守と現場判断の難しさを感じた。
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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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