ソニーは、窓から入った太陽光を天井に偏向することで照明として利用できる省エネフィルムなど最先端の環境技術を発表した。1日から中国北京で開催中の「日中グリーン EXPO2011」で展示している。
新たに発表したのは、省エネフィルムと植物由来の凝集剤を使った工場排水の水浄化技術。
省エネフィルムは、ビデオテープや液晶テレビの光学シートなどに使われている技術をもとに開発した。本来なら室内の床に当たる太陽光を調光フィルムを使って天井へ反射させ、照明と似た効果を作り出す。照明の利用が減ることで、節電につながるという。同時に開発した熱線再帰性フィルムでは可視光だけを通過させ、熱を太陽の方向へ跳ね返すことでヒートアイランド現象を防ぐ。
水浄化技術は、乾燥、粉末化した植物を使う。プラスに帯電した汚濁物質を浄化剤が電気的に引き付けて凝集、沈殿し、水をきれいな層と汚職物質層に分ける。従来は廃棄されていた植物の部分を利用するという。
ソニーでは、このほかにも今回のEXPO2011でいくつかの環境技術を展示している。「発電する窓」(ソニー)と呼ばれる色素増感太陽電池は、酸化チタン電極の表面に色素を吸着させ、色素が吸収した光エネルギーを電気に変換する技術。同社では、色素増感太陽電池としては世界最高となる9.9%の光変換効率を実現した。
20%程度の変換効率を持つシリコン素材の太陽電池には劣るが、蛍光灯など弱い室内光でも発電できるのが特徴だという。発電した電気を蓄える蓄電モジュールとして1.2kWhのものが昨年製品化され、4月からは量産が始まった。
バイオ電池は、ジュースを立方体の箱の中に垂らすと、酵素の働きでジュースに含まれたブドウ糖を電気に変換する仕組み。同社では出力密度5mW/ccを実現し、「理論的には、200ccのぶどう糖を含んだジュースで1W程度を発電することが可能」(ソニー)。バイオ電池を、玩具メーカーのリモコン操縦車の試作機に搭載した例もある。(形山昌由)