米アップルが全サプライヤーに2030年までの脱炭素を要請

記事のポイント


  1. 米アップル社は全に「2030年までにカーボンニュートラルを要請
  2. 主要サプライヤーに関しては年ごとの進捗状況を追跡して評価する
  3. 環境NGOと連携し、森林吸収源の質向上なども強化する

米アップル社は10月25日、グローバルサプライチェーンに対して「2030年までにカーボンニュートラル(実質ゼロ)」を要請したと発表した。脱炭素化を支援しながら、主要サプライヤーに関しては年ごとの進捗状況を追跡して評価する。合わせて、環境NGOと連携し、森林吸収源の質向上や、気候変動の影響に脆弱な地域を支援するプロジェクトも立ち上げた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

アップルはサプライチェーン全体で再エネ導入を進める(写真:アップル提供)

同社は2016年に事業活動を100%再生可能エネルギーでまかなうことを目指す国際イニシアティブ「RE100」に加盟。2018年以降、44カ国にあるすべてのオフィス、直営店、データセンターの電力をすべて再エネでまかなっている。欧州では、大規模な太陽光発電所や風力発電力所の建設計画を進め、新たに年間3000ギガワット時を調達する。

直接製造費の支出先の7割以上に当たる200社以上のサプライヤーは、すべてのアップル製品の製造時に再エネを使うことを確約しているという。

サプライチェーン全体で「2030年までにカーボンニュートラル」を実現するため、アップルは脱炭素化支援の一環として、サプライヤーに無料でEラーニングリソースとライブトレーニングを提供する。サプライヤーや地域のパートナーと協力しながら、再エネ導入と炭素除去のための効果的なソリューションの特定に取り組むとしている。

こうした再エネへの投資のほか、同社は森林など炭素吸収源の確保にも力を入れる。2021年4月には森林プロジェクトに直接投資するリストア・ファンド(再生基金)を立ち上げた。さらに今回新たに中国の環境基金と協働し、炭素除去に関する調査やベストプラクティスの実践などを行う。

加えて、気候変動の影響に脆弱な地域への支援も強化する。世界自然保護基金(WWF)と協働し、ナミビアとジンバブエで、気候変動対応型の農業、養蜂、雨水貯留など、地域の天然資源の保全と回復に依存する代替生計の開発に取り組む。

同社のティム・クックCEOは、「気候変動との闘いは、アップルにとって最も緊急性の高い優先事項だ。私たちは、サプライヤーと引き続き協力して2030年までにAppleのサプライチェーンをカーボンニュートラルにすることを目指す。この取り組みをアップルだけで終わらせず、波及効果を生み出し、より大きな変化を起こしていきたい」とコメントしている。

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #脱炭素

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