イオンモール、2040年度までに160店舗を再エネ100%へ

東京商工会議所は11月18日、「eco検定アワード2022」表彰式を開催した。同アワードは積極的な環境活動を行うeco検定合格者(エコピープル)の取り組みを広く周知することで、具体的なアクションの参考にしてもらうことを目的としている。エコユニット部門(法人)大賞には、店舗の再エネ導入を進めるイオンモール、エコピープル部門(個人)大賞には、佐藤秀樹さん(江戸川大学講師/農学博士)が選ばれた。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「eco検定アワード2022」表彰式で
「eco検定アワード2022」表彰式で

eco検定は、環境問題やSDGs(持続可能な開発目標)を体系的に学ぶ検定試験で、これまでのべ56万人が受験し、34万人のエコピープルが誕生した。

エコユニット部門大賞を受賞したイオンモールは、モールの環境配慮を進めてきた。脱炭素化の一環として、2040年度までに国内約160カ所の大型商業施設で、地産地消の再生可能エネルギーに切り替えることを目指す。

イオンモールは地産地消の再エネの導入を進める

2022年9月には、自己託送方式による低圧・分散型太陽光発電「イオンモール まちの発電所」を稼働。第一弾として、全国にある約740カ所の低圧太陽光発電所で発電した電力約65MWを、全国のイオンモール約30施設に自己託送方式で供給する。

循環型の「サーキュラーモール」の構築にも力を入れ、モールで発生した生ごみのたい肥化やビニールごみの再製品化も進める。

生物多様性保全にも積極的で、ABINC認証「いきもの共生事業所」認証を取得したモールが拡大している。

イオンモール戦略部ESG推進グループマネージャーの森本満さんは「地域、お客さま、テナントの皆さまとともに、これからも継続して環境活動に取り組んでいきたい」と話した。

エコピープル部門大賞を受賞した佐藤秀樹さんは、江戸川大学をはじめとした各学校の講師として、環境問題やSDGsに関する講義を行い、そのなかでeco検定を活用してきた。「ローカルSDGs」を掲げ、松戸市のSDGs推進にも尽力する。

バングラデシュでは、里山農業保全活動にも取り組み、6次産業化による生計向上プロジェクトでは、生産者の収益向上に貢献した。在来作物種子の保全にも力を入れる。

佐藤さんは、「コロナ禍で現地に行けないことも多いが、学生向けの課題解決型フィールドワークを実践していくほか、国内外で環境保全と地域産業発展を両立させる取り組みを進めていきたい」と話した。

eco検定受験者数55万人突破を記念して行われた基調講演には、佐藤真久・東京都市大学大学院環境情報学研究科教授が登壇し、「環境、社会、経済は複雑に絡み合っている。SDGsの17目標もすべて関連し合い、つながっている。得意分野を生かしながら、解決に取り組んでいくことが重要だ」と訴えた。

「eco検定アワード2022」の受賞者は次の通り。

●エコユニット部門

・大賞:イオンモール(千葉県千葉市/大規模地域開発・ショッピングモール開発運営)

・優秀賞:エコリカ(大阪府大阪市/リユース・リサイクルインクカートリッジの開発、製造)

環境貢献型商品を開発するほか、使用済インクカートリッジの回収・仕分け業務では福祉にも貢献する

・優秀賞:大和リース(大阪府大阪市/建設業)

カーボンニュートラル、再エネ100%を目指し、商業施設の環境負荷低減に取り組む

・優秀賞:東芝エレベータ(神奈川県川崎市/昇降機に関する開発・設計および試験)

全社的に環境活動のバトンを渡す一斉アクション「TELC-BATON」を展開し、2021年度は246人(385件)が参加

●エコピープル部門

・大賞:佐藤秀樹さん(バングラデシュ、千葉県松戸市、流山市/江戸川大学 社会学部 専任講師)

・優秀賞:大沼晴彦さん (栃木県宇都宮市/栃木県地球温暖化防止活動推進員)

気候変動や再エネをテーマにした出前授業では、ソーラーカーの模型作りなど、楽しい学びを提供している

・優秀賞:下司聖作さん (大阪府豊中市/おおさかATCグリーンエコプラザ)

他社と連携しながら、中小企業向けにもSDGsと経営をつなげて考えてもらう講座を実施する

yoshida

吉田 広子(オルタナ副編集長)

大学卒業後、米国オレゴン大学に1年間留学(ジャーナリズム)。日本に帰国後の2007年10月、株式会社オルタナ入社。2011年~副編集長。執筆記事一覧

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キーワード: #自然エネルギー

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