「賞味期限が近付くと自動で値引き」食品ロス削減へ実証実験

記事のポイント


  1. 「賞味期限が近づくと自動で値引きする」という実証実験が始まった
  2. これにより、サプライチェーンの効率化と食品ロス削減を目指す
  3. 二次元バーコードを活用したダイナミックプライシングは珍しい取り組みだ

日本総合研究所(東京・港)など5社は24日、サプライチェーンの効率化と食品ロス削減の実証実験を始めた。二次元バーコードと専用ツールを活用して賞味・消費期限別の在庫状況を可視化する。期限に合わせて価格が変動するダイナミックプライシングも用いる。購入する動機づけを行って、食品ロスの削減などを目指す。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

日本総研など5社は事業系の食品ロス削減を目指す

実証実験に参加したのは、日本総研のほか、今村商事(東京・品川)、サトー(東京・港)、西日本イシダ(福岡市)、まいづる百貨店(佐賀県唐津市)の5社だ。

食品ロスの更なる減少に向けた取り組みは不可欠だ。経済産業省では食品ロス削減などの事例創出に向けた委託事業を行っており、今回の実証実験もこの事業の一環となる。

実証実験では、商品に二次元バーコードを印字したラベルを貼り、専用ツールを使うことで賞味・消費期限別で在庫管理することができる。事前にルールを設定することで、期限に合わせて自動で値引きすることなどが可能になる。これにより効果的な売り切りと業務負担の軽減を目指す。

賞味・消費期限の異なるものが同じ棚に並ぶと、消費者は期限が長い商品を購入しがちだ。今回の実証実験では、同じ商品でも期限が1日後のものをA、3日後のものをBとラベルをつける。AはBよりも安い価格で提供し、購入を促進する。消費者は商品を手に取るとAかBかがわかり、電子棚札でそれぞれの価格を比べることができる。

事業系の食品ロスは小売店以外でも、見込み製造によるロスも多い。実証実験では期限別の売れ行き情報をメーカーに提供することでロス削減量の検証も行う。

実証実験は佐賀県唐津市にあるスーパーマーケットで2月26日まで行う。対象商品は福岡に本社を置く食品企業のパン25品目となる。検証結果は食品ロス削減などに寄与するサービスの開発と、社会実装に活かす。

農林水産省の統計によると、2020年度の国内の食品ロスは年間で522万トンに上った。スーパーなど食品業界が廃棄する事業系のロスは275万トンだった。このうち食品製造業は121万トン、外食産業は81万トン、小売業は60万トン、卸売業は13万トンだった。

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萩原 哲郎(オルタナ編集部)

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #フードロス

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