記事のポイント
- クラダシは、企業が保有する食品を子ども食堂に届ける実証実験を行った
- マルハニチロなど3社が食品を提供し、大阪市・豊中市の20団体に届けた
- 実証実験は2回目で、災害備蓄品に加えて今回はじめて冷凍食品も提供
ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営するクラダシ(東京都品川区、関藤竜也社長)は、2022年10月および12月に、慶應義塾大学SFC研究所と共同で、企業が保有する食品のデータと、食品の提供を希望する大阪府内の子ども食堂とのマッチングを行う実証実験を実施いたしました。その結果、3企業から提供を受けた計5,010食分の冷凍食品および災害用備蓄食品と、大阪市および豊中市に位置する子ども食堂延べ20団体のマッチングを実現いたしました。
■「子ども食堂支援DX化に向けた実証実験」とは
企業が抱える食品と子ども食堂のマッチングに係る課題を解決し、余剰食品を提供したい企業と連携することで、子ども食堂への円滑かつ迅速で安定的な食品提供を実現することを目的とした実証実験です。
各企業が保有する商品の情報をukabisに登録し、データを連携することで大阪府内の子ども食堂と食品のマッチングを行います。マッチングされた食品は、提供元企業の保管先からトラックもしくはタクシーを活用し各子ども食堂へと提供されます。
「ソーシャルグッドカンパニーでありつづける」をミッションに掲げ、ソーシャルグッドマーケット「Kuradashi」を運営するクラダシは、売上の一部を「クラダシ基金」として、全国のフードバンクへの支援事業に充てるなどの活動を行ってまいりました。
昨今の子ども食堂の増加も受け、フードロスの削減及び支援の輪を広げることを目的に、子ども食堂へ安定的に食品を提供する仕組みの構築を目指し、昨年度より、食品や生鮮の加工・流通、販売・消費、資源循環等におけるデータ共有を可能にする情報連携基盤であるukabisとのデータ連携を活用した子ども食堂への食品マッチングの実証実験を行っています。
■今回(第2回目:10月、第3回:12月)の実証実験について
【テーマ】
2022年2月に実施した第1回実証実験の結果、災害用備蓄食品による支援の可能性やタクシー活用による近距離配送の実現性について確認ができましたが、規模や開催頻度も異なる多数の子ども食堂への個別対応や、より実際のオペレーションに近い形でのマッチングの実施には課題が残りました。
そのため、今回の実証実験では、食品提供企業の所在エリアや寄贈対象の子ども食堂数を拡大するとともに、子ども食堂へのマッチングや配送に係る事前調整や対応工数の削減に向けて、プロセス効率化の検討を行いました。また、常温の災害用備蓄品に加え、冷凍食品のマッチングと寄贈も実施いたしました。
12月に実施した第3回の実証実験では、これまで対象としていた大阪市に加えて、12月19日にクラダシと連携協定を締結した豊中市の子ども食堂も対象としました。
【実施内容】
- 協力企業: マルハニチロ株式会社、三菱地所ITソリューションズ株式会社 他
- 実証実験参加団体: 大阪府大阪市および豊中市の子ども食堂 26団体
- 提供商品: 冷凍食品約2,660袋、災害用備蓄食品のアルファ米や煮物、焼き菓子など2,000食以上
- 実施期間: 2022年10月および12月
- 提供食品のマッチングの手順: 食品提供企業より、ukabisに食品情報を登録。登録した食品のデータを連携し、クラダシのマッチングシステムに食品情報を掲載。子ども食堂は、クラダシのマッチングサイトより、希望の商品を注文。
【結果】
- 第2回:冷凍食品約2,660袋(62箱)と災害用備蓄食品1日分セット(250箱)を大阪市内の子ども食堂 計12団体にマッチング、トラックで各団体へ配送し寄贈。
- 第3回:災害用備蓄食品1,600食(44箱)を大阪市及び豊中市の計8団体にマッチングし、宅配便で各団体へ個配送し寄贈。
【実証実験で確認された効果及び課題】
- 冷凍食品も子ども食堂へのマッチングに適していることが確認でき、提供食品の幅が広がった。子ども食堂によっては、冷凍庫の容量にも限りがあるため、受入可能な団体が少ないのではないかという仮説を立てていたが、一定の冷凍保管能力のある子ども食堂団体や、子ども食堂の中間支援団体がおり、調理にも、生活困窮家庭等への配布にも使用可能で、人気の高い冷凍惣菜が、ニーズが高かったこともあり、問題なくマッチングした。
- ukabisとのデータ連携のシステム化を進めたことにより、クラダシ側でのサイトに掲載するまでの作業時間を半分程度に短縮(8商品 通常時 80分→連携による商品登録40分)、多品種の掲載が可能となった。
- 一方で、食品提供者での登録作業工数が一定量かかるといったことや、登録のための調整・確認に時間を要するという面もあり、今後、食品提供者数が増加した際の対応に課題が残る。
- 受入側の子ども食堂が団体の規模等によって、ITリテラシーやメール確認頻度等の差が大きく、当初、参加の希望を表明いただいたものの、マッチングシステムのアカウント登録や注文に至らない団体が一定数発生。子ども食堂とのコミュニケーションはマニュアル対応になる部分がまだ多く、子ども食堂の中間支援団体等の活用を検討していきたい。
■子ども食堂とは
子ども食堂は、子どもが一人でも行ける無料または低額の食堂です。子どもやその両親及び、地域の方々に対し無料や低額で食事を提供しており、食事提供に限らず、子どもの居場所や、地域の人々のコミュニティづくりを担っています。
子ども食堂は民間発の自主的・自発的な取組みであるがゆえ、運営を支援する公的な制度などが整備されておらず、その数は増加の一途をたどっており、現在全国で7,000箇所を超えています。その一方で、多くの子ども食堂は「食材などの不足」を課題に感じており、食材や資金などの支援を求めています。
■ソーシャルグッドマーケットKuradashiとは
Kuradashiは、フードロス削減を目指すショッピングサイトです。まだ食べられるにも関わらず捨てられてしまう可能性のある商品などをお得な価格で販売し、売上の一部を環境保護・災害支援などに取り組む様々な団体に寄付することで、SDGs17の項目を横断して支援しています。
いろいろな掘り出し物が見つかる、楽しくてお得なお買い物が社会の徳に繋がる、そんなソーシャルグッドマーケットです。
URL:https://www.kuradashi.jp/
・クラダシが自社で運営する「クラダシ基金」:https://www.kuradashi.jp/fund
【2022年12月末時点の主な累計実績】
・フードロス削減量:14,384トン ・経済効果:55億7,964万円
・CO2削減量 :38,132t-CO2 ・寄付総額:85,660,355円