禁止国増加のプラ製カトラリー、日本ではやっと有料化実験

日本では今、コンビニ10店舗でスプーンやフォークなどの有料化実証実験を行っている。昨年4月に施行されたプラスチック資源循環法で、これら特定プラスチック使用製品の提供事業者には、有料化やポイント還元、代替素材への転換といった使用の合理化が求められたためだ。しかし、海外では一歩進んで、欧州やカナダ、ニュージーランド、韓国、インドなど使用を禁止する国が増えている。世界ではカトラリー禁止がスタンダードになりつつあるようだ。（オルタナ編集委員・栗岡理子）

■都内コンビニでカトラリーの有料化実験中

セブン-イレブン・ジャパン、ファミリーマート、ローソンのコンビニエンスストア大手３社は現在、プラスチック製のスプーンやフォーク、ストローを有料化する実証実験中だ。実験は２月28日まで、中央合同庁舎や特許庁、東京高等裁判所、東京家庭裁判所に入るコンビニ計10店舗で行っている。

カトラリーの金額はそれぞれ2円から４円。あらかじめ商品に添付されたストローや木製マドラー、割り箸などは有料化実験の対象外だ。有料化により客数や辞退率がどのように変わるかを検証する。

■英イングランドでは今年10月から使用禁止

一方、海外ではカトラリーの流通や提供の禁止を打ち出す国が増えている。英国政府はこのほど、イングランドでの使い捨てプラ製品の使用禁止対象を拡大すると発表した。これにより、プラ製カトラリー（スプーン、フォーク、ナイフなど）や皿、トレー、ボウルなどは今年10月から禁止される。プラ製ストローやマドラーは、医療目的などで使用する場合を除き、2020年から提供が禁止されている。

EU（欧州連合）では、EU理事会が2019年5月に採択した使い捨てプラ製品（カトラリー、皿、ストロー、マドラーなど9種類）の流通を禁止する指令に基づき、2021年7月3日までに加盟国は国内で法制化することが求められた。チェコは選挙などの都合で遅れたものの、昨年「プラスチック製品の環境影響の制限に関する法律」を施行し、カトラリーなどの流通を禁止した。

■カナダや南米でも禁止が広がる

カナダやニュージーランドも使い捨てプラ製品の禁止を打ち出している。カナダでは昨年からカトラリーなどの製造と輸入を禁止。今年12月からは販売も禁止される。また、ニュージーランド政府は2025年7月までに段階的に使用を禁止すると発表した。

韓国やインドもプラ製カトラリーを既に禁止し、現在禁止の徹底をはかっている。また、チリでも既に施行された法律の下、カトラリーなどの提供を禁止した。ペルーも2018年、使い捨てプラ製品や容器を規制する法律を施行。コロンビアでも昨年、カトラリーやストロー、食品容器などを対象とする使い捨てプラの使用禁止に関する法案が上院で可決された。2030年までに段階的に使用禁止となる。

■4分の3の人が使い捨てプラ禁止を支持

調査会社Ipsosは2022、世界28ヶ国の75歳以下の成人約2万人を対象に「使い捨てプラスチックに関する意識調査」を実施した。それによると、調査対象者の75％が使い捨てプラをできるだけ早く禁止すべきだと考えている。

禁止に賛同する割合が最も高い国はコロンビアで89％、次いでチリとメキシコが88％、アルゼンチンと中国が84％、インド・イタリア・ペルーが83％と続く。一方、賛同する回答者の割合が最も低かったのは日本で37％、次いでアメリカが55％、カナダ66％、サウジアラビア69％の順だ。

日米で平均値をグンと下げた格好だが、総じてプラスチック汚染状況を身近に感じる人々の多い国や、政府が熱心に削減に取り組み、マスコミ報道も多い国が上位に入っている傾向がある。

多くの国や地域が、使い捨てプラ製品を大幅に減らすための措置を講じ始めた。既に世界では有料化を通り越し、使用禁止が「標準」になりつつある。しかし、日本ではようやくコンビニ10店舗でカトラリー有料化の実証実験を始めた段階だ。政策の違いが国民意識の差となって表れているようだ。