トルコ・シリア地震で甚大な被害、被災地に寄付を届けるには

記事のポイント


  1. トルコ・シリア地震の被災者が最大2300万人に上る可能性がある
  2. 日本から助けになりたいという声が上がるが、どのように支援できるのか
  3. 現地では、日本の国際協力NGOらも救助活動を進めている

●参考記事:トルコ・シリア地震、日本から支援できる寄付先まとめ

トルコ南部で発生した一連の地震で、甚大な被害が生じている。WHOは被災者が最大2300万人に上る可能性を指摘した。トルコと日本は、古くはエルトゥールル号遭難事故の救助から始まり、戦禍や災害時には互いに支援を行ってきた。日本から助けになりたいという声が上がるが、どのように寄付先を選べば良いのか。(日本非営利組織評価センター=村上佳央)

車両で支援物資を運ぶAARの職員(提供・AAR<難民を助ける会>)

■一刻を争う現地での救助活動

日本の警視庁、外務省はいち早く現地への救助隊の派遣を行った。派遣された隊員には消防や警察だけでなくJICA(国際協力機構)も含まれる。ピースウィンズ・ジャパンは医師・看護師やレスキュー隊員からなる支援チームの派遣を決定した。

また、国際協力団体であり日本にも支部を置くAAR(難民を助ける会)、WFP(世界食糧計画)、国境なき医師団、ユニセフらは現地スタッフが被害の実態調査を行い、必要な支援の準備を進めている。

国際社会に寄付の呼びかけ

国際赤十字・赤新月社連盟は被災者を支援するため、寄付の呼びかけを行っている。日本円にして、およそ99億1900万円を集めたいと発表したが、日本赤十字は現時点で今回の地震に関する寄付窓口を設けていない。それでは、どの団体に寄付をするのが良いのか。その選び方を紹介したい。

■「義援金」と「支援金」のちがい

駐日トルコ共和国大使館は公式Twitterアカウントで義援金の受付を開始した。大使館又は総領事館に集められた義援金は政府の災害緊急事態対策庁(AFAD)に届けられる。

「義援金」とは被災者に分配されるお金のこと。今回の「義援金」に関しては緊急事態発生後すぐのため、またトルコ国内の制度の違いもあるため、どのように使われるのかは分かっていない。

一般的に日本国内の義援金の場合は、行政や日本赤十字社などが主導して行い、配分委員会によって義援金の100%が公平に被災者に分配・配分されるものである。そのため基本的には被災地での救命・復旧活動には使われず、被災者数などを把握し均等に分配するために被災者に届くまで時間が掛かる特徴がある。

義援金に対して、被災地での救命・復旧活動などに速やかに役立てられるお金を「支援金」と呼び、支援団体を通して被災者へ届けられる。今回のように緊急性の高い災害では、被害状況が完全には把握できないなかでも、すばやく動ける民間団体の救助活動や物資支援によって救われる命がある。

■「支援金」を被災地に届けるための団体選び

国際的な人道支援を行う団体は、日本において活動内容が身近でないことも多い。寄付先の団体はどうやって選べば良いのか。

もし寄付先が公益法人や認定NPO法人であれば、寄付控除を受けられる。そして認定NPO法人であれば寄附総額の70%以上を非営利活動の事業費に充てていることが客観的に確認された団体である。

また、これまでの国際協力実績を確認すると良いだろう。被災地での活動や救助支援の実績がある団体は、現地スタッフやパートナー団体との連携があり支援金を有効利用できる。

「トルコ地震緊急支援」などと支援金の使い道を明示している団体はお金の流れが分かりやすい。その一方で、それ以外の用途に支援金を使えないため、例えば、支援金が計画を大幅に上回った場合や、現地政府の協力が得られない場合に資金がだぶつきやすく、緊急支援の場合にはデメリットも大きい。

■団体の「中抜き」を防ぐには

団体の運営費(管理費)に充てることを「中抜き」と呼ばれることがある。国際協力には救助隊だけではなく調査員や日本からサポートを行う事務局員も必要だ。スタッフに適切な給与を支払い、盤石な事務局体制を整えることで「寄付金があるのに人手が足りない」状況を阻止し、むしろ効率の良い資金活用につながるといえる。

運営費(管理費)に充てることは「中抜き」ではなく、救援活動を行うための適切な寄付金の使用である。

もちろん寄付金の不正利用はあってはならない。活動実態のない団体を見破り支援金の横流しを防ぐには、現地からの報告に継続的に耳を傾けることが効果的だ。もしあなたが義援金・支援金を送られるなら、ぜひ支援結果まで見届けることをおすすめしたい。

トルコ・シリア地震の支援に使うことを明示している国際協力団体は次の通り。

・公益財団法人日本ユニセフ協会「自然災害緊急募金」※パキスタン洪水・アフガニスタン地震などへの支援も含まれる

・認定NPO法人WFP(世界食糧計画)「緊急支援募金」

・認定NPO法人難民を助ける会「トルコ地震緊急支援」

・認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン「トルコ地震緊急支援」

・認定NPO法人国境なき医師団「緊急チーム」※トルコやシリアの被災地での活動に限らず、緊急チームの活動全般の資金に充てられる

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