オルタナ72号「ウォッシュ監視、国連も行政も」の全コンテンツ

オルタナ72号(2023年3月発売)の全コンテンツは次の通りです。

編集長コラム「alternative eyes」: 「地球に優しい」はもう止めよう
オルタナ72号の第一特集は「ウォッシュ監視 国連も行政も」です。記事にあるように、グリーンウォッシュ(環境やSDGs、ESGなどに配慮しているように偽ること)は「ソフトロー」から「ハードロー」の領域に移りつつあります。(森 摂)

■social design gallery 
命と環境守る福島の防災緑地
東北沿岸部では海が隠れるほど高い防潮堤がそびえ建つが、福島県いわき市では木々が育って防潮堤となる「防災緑地」対策が採用された。海岸地域にクロマツや広葉樹を植え堤防を形成する防災緑地は、津波を減衰するだけでなく、景観や環境を守る効果もある。

■高橋さとみの切り絵ワールド─見せかけ
見た目と実像と違う場合がある
本物を見抜く力をつけたいなら
自らが本物になろう

■世界のソーシャルビジネス
[ウガンダ]廃棄牛乳で化粧水、マラリア予防にも

ウガンダで、廃棄される牛乳からマラリア蚊よけにも有効な100%オーガニック のスキンケアローションを開発したスタートアップがある。スパークル・アグロ・ブ ランド社だ。廃棄予定の牛乳を買い取ることで、フードロス削減と小規模酪農家の支 援につなげ、マラリアの撲滅に向けて、開発と製品の普及に尽力する。 (北村佳代子)

[デンマーク]100%植物由来、プラフリーのガム
デンマーク•コペンハーゲン生まれの「トゥルーガム(本物のガム)」は、プラスチックフ リーを掲げるガムブランドだ。大学の友人4 人で2017年に立ち上げた。一般的なガムには、合成樹脂である酢酸ビニル樹脂などが使われ ているが、同社のガムは天然チクルを主原料 とし、100%植物原料にこだわっている。(オルタナ副編集長・吉田広子)

[米国]高齢者の生活守るプリペイドカード
米国では60歳以上の詐欺被害総額が10億㌦(約1365億円)に上るなど、高齢者を対象とした詐欺が問題視されている。フィンテックスタートアップは高齢者を詐欺被害から救うプリペイドカードを開発した。AIがカードの使用状況を常時監視し、不審な取引と判断した場合は自動的にブロックする仕組みだ。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

■第一特集: 「ウォッシュ監視 国連も行政も」
環境やSDGs、ESGなどに配慮しているように偽る「グリーンウォッシュ」への包囲網が、着々と狭まっている。大きな転機は2022年11月、国連のグテーレス事務総長による「ウォッシュ撲滅宣言」だ。すでに欧州で「ウォッシュ」を取り締まる規制や法制化が相次ぎ、グリーンウォッシュは「ソフトロー」から「ハードロー」に変わり始めた。

[英国] 公取委が監視強化、消費財も対象に
日本の公取委に当たる英競争・市場庁(CMA)は2023年1月、新たに食品、飲料、洗剤、セルフケア用品などの消費財について「グリーンウォッシュ」の監視対象とすると発表した。CMAは消費者保護の視点から、環境配慮をうたう商品・サービスを対象に、その表現や主張の根拠を精査する。

[消費者庁] 根拠なき生分解プラ、行政処分の対象に
消費者庁は2022年12月、「生分解性」をうたっていたカトラリー類やレジ袋などの表示が「優良誤認」にあたるとして、10社に対し行政処分を行った。生分解性プラは、「特定の環境下」で生分解するが、土壌や海中でも分解するかのような誤解を与えると判断した。

[視界不良の炭素中立] ゼロエミ火力、リスクも輸出
政府は2050年「カーボンニュートラル」を目指すが、化石燃料業界には「不透明なカーボンニュートラル」が広がる。自称「CO2を出さない」火力発電はCO2そのものを輸出する計画まで出てきた。カーボンニュートラルな液化天然ガス(LNG)もクレジット頼みだ。

[GX基本方針] 原発・化石燃料、「脱炭素に使うな」
政府は今後10年間のエネルギー政策として「GX基本方針」を掲げた。しかし、その内容は、原発の最大限活用や石炭火力の維持など、国際潮流と逆行する。認定NPO法人気候ネットワーク東京事務所の桃井貴子所長は「ウォッシュそのものだ」と指摘した。

[木質バイオマス発電] 石炭よりCO2多い輸入木質ペレット
大規模な木質バイオマス発電所の建設が全国で相次ぐ。燃料となる木質ペレットの輸入量は年々増加し、国内生産量の約20倍に上った。しかし、NPO法人バイオマス産業社会ネットワークの泊みゆき理事長は、輸入木質ペレットを使用した場合のCO2排出量の多さを問題視する。

[ドリーム燃料装置] 「永久機関的に動く」、人工石油に疑問符
2023年1月、大阪市や大阪府などの支援で、「水と大気中のCO2などから生成する人工石油」の実証実験があった。この「ドリーム燃料製造装置」を開発したのは、京大名誉教授で立命館大学総合科学技術研究機構・上席研究員の今中忠行氏だ。同氏はオルタナの取材に対して、装置を「永久機関的だ」と形容した

[現代奴隷] 希少金属を巡りEVに人権リスク
電気自動車(EV)用バッテリーには、コバルトやリチウムといった希少金属が不可欠だ。しかし、その採掘現場や生産プロセスでは、児童労働や強制労働が起きている。自動車メーカーは環境性能だけでなく、人権に関する情報開示を進めなければ、「ウォッシュ」と批判されるリスクもある。

[チャットGPT] 性差別や人種差別、AIにも偏見潜む
対話型AI「チャットGPT」の登場で、AIと人間との距離が一気に縮まった。AIは、作業だけではなく、意思決定の自動化まで進め、さまざまな場面で実用化されている。一方、学習データのバイアス(偏見)によって、公平性が失われるなど倫理的なリスクも抱える。

[ピンクウォッシュ] LGBTQ+啓発、宣伝先行に注意を
「LGBTQ+」を巡る権利擁護や啓発の一貫で、企業のロゴが「レインボー」に彩られる機会が増えた。差別や偏見が根強い社会で、LGBTQ+に関する取り組みの広がりを歓迎する声が高まる一方、「ピンクウォッシングでは」という批判的な声も聞こえてくる。

[動物福祉] 畜産物の飼育環境、客観的な説明を
アニマルウェルフェア(動物福祉)を担保するためには、客観的な指標が必要だ。しかし、多くの日本企業は客観的指標を明示することなく、牧歌的なイラストや「大切に育てた」など、あいまいな表現で飼育の実態を覆い隠している。

■第二特集: 最大のリスクは社員からの不信任
「『SDGsウォッシュ』がもたらす最も深刻なダメージは、社員のエンゲージメントの低下だ」。こう主張するのは、ソニーブラジル社長、WWF(世界自然保護基金)ジャパン事務局長を経て、現在は中堅・中小企業のSDGs経営を支援する筒井隆司・日本ノハム協会専務理事だ。同氏がSDGsウォッシュのリスクを解説する。

第三特集:「SDGs疲れ」、全世代に広がる
オルタナ総研はオズマピーアール(東京・千代田)と、企業のサステナビリティ領域実務担当者と生活者を対象にした「SDGs意識調査」を行った。企業のSDGsに関する情報発信は増えているが、生活者の「SDGs疲れ」とでも呼ぶべき現象が浮き彫りになった。

トップインタビュー「パーパスと信念で社員を能動的に」 
掬川 正純(ライオン 代表取締役社長CEO)
ライオンはパーパス(存在意義)を実践するための拠りどころとして、ビリーフス(信念)を策定している。その信念を共有するために、社内への情報発信やワークショップを重ねる。その意図を掬川正純社長に聞いた。

トップインタビュー「個が活きる職場はDEI指標から」
宮地 純(カルティエ ジャパン プレジデント&CEO)
カルティエ ジャパンが職場を自分らしく働ける「居場所」にする取り組みに力を入れる。DEI(多様性・公正性・包摂性)の一環で、性別や国籍、障がいの有無などを乗り越え、すべての人々を迎え入れる施策だ。「DEI指標」の作成を目指す。

トップインタビュー「最先端ICTで児童労働を可視化」
佐藤 利弘(ロッテ 常務執行役員[ESG担当])
ロッテは2023年2月、国内初となるブロックチェーン技術による実証実験を始めた。ブロックチェーンのシステムを活用して、サプライチェーンの児童労働リスクの可視化に取り組む。非上場企業でありながらESG/サステナ経営を推進する狙いを聞いた。

■「オルタナティブの風」(田坂広志) 民主主義と資本主義の「過信」 
人類の歴史は、進歩しているのか。その問いに対して、世界の現実を見て、むしろ「退歩」していると答える人が多いのではないか。

■「エゴからエコへ」(田口ランディ) 「危険な国保」
確定申告のシーズンを迎え、近所のカフェでも「申告終わった?」が合言葉に。自由業30年以上の私の周りに集まるのは、自由業または自営業。木工作家、陶芸家、作家、カフェの オーナー、収入の安定しない者同士で青色申告について語り合った。

■「ESG情報開示最前線」(ESG情報開示研究会)
有報「サステナ情報開示」の意味
金融庁は昨年11月、有価証券報告書等の記載事項を定めた「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を提示しました。この改正案では、主な項目として、「①従業員の状況」 「②サステナビリティに関する考え方や取り組み」「③コーポレートガバナンスの状況」─という3つのトピックについて、対応を求めています。

重要課題に「認識ギャップ」が
ESG情報開示研究会では44の事業会社、機関投資家に対してESG情報開示の現状に関わる個別インタビューを実施しました。価値創造のプロセスについては評価されていますが、レベルの二極化が進みます。マテリアリティ(重要課題)の特定に関しては、事業会社と機関投資家のコミュニケーションギャップが明らかになりました。

■「真のサステナビリティ投資とは」(澤上篤人) 日銀はあるべき姿を取り戻せ
長いこと、政府も日銀も市場での価格形成、つまり経済現場での自然なる値動きを、力でもって抑え込んできた。とりわけ、この10年間の黒田日銀総裁による異次元の金融緩和政策は強引そのものである。

「モビリティトピックス」(島下泰久)
ソニーとホンダ、協業の行方は/一線を画すスズキの脱炭素戦略/ホンダが目指す、FCエコシステム/レクサスが「次世代BEV」を主導へ

■「モビリティの未来」(清水和夫) FCEVが日本で増えないワケ
脱炭素エネルギーの主役は、なんと言っても再生可能なエネルギーだ。しかし、エネルギーは各国の安全保障にも関係する国家の最重要事項でもあり、国によってエネルギーのエコシステムは大きくことなる。

■農業トピックス 
農業振興をソーラーシェアで/国産肥料の利用拡大へ協議会/都、農業振興へ稼げるモデル提示/カブト虫のフンで収穫2割増

■日本農業 「常識」と「非常識」の間(徳江倫明) 農業は「農家の専有物」ではない
ここにきて、1999年制定の食料・農業・農村基本法の改正に向けた動きが騒がしい。23年6月をめどに見直しを進め、23年度中に改正案の国会提出を視野に入れる。

■林業トピックス
「クリーンウッド法」改正へ/CDP「フォレストA」花王など4社/森林保護、国内商社は道なかば/マクドナルド、新店舗7割に地域材

■「森を守れ」が森を殺す(田中淳夫) 林野庁が描く日本の森の未来図
現在、日本の林業で大きな課題の一つに再造林がある。主伐(皆伐)が進んでいるのに伐採跡地の放置が進んでいるからだ。再造林されたのは、現状3割程度という調査結果も出ている。

■漁業トピックス
イセエビ育てる洋上風力発電/水産庁、IUU漁業の排除へ始動/船の人権に焦点、漁船基準始まる/MSC取得のカキ提供

■「人と魚の明日のために」(井田徹治) 海藻食と藻場の未来
日本人は、古くからコンブやワカメ、ヒジキといった海藻を食べてきた。海藻は胞子で増える海の藻類の総称で、アオサ、テングサ、モズクなど、多くの種類がある。藻場は貴重な生態系で、生まれたばかりの魚などの生息地としても重要だが、日本沿岸では開発や埋め立て、水質汚染などによって、減少が目立つ。

フェアトレードトピックス (潮崎真惟子)
ブルガリが認証チョコレート/コーヒーの認証、10年で15%増/美しい花に潜む人権リスク

■「フェアトレードシフト」(潮崎真惟子) リスク評価は何から始めるべきか
フェアトレード・インターナショナルは、フェアトレードの産品や国・地域毎の人権と環境のリスクを一覧化したオンラインデータベース「フェアトレード・リスクマップ」を公開した。129カ国と15以上の産品について、労働者の権利、児童労働、強制労働、ジェンダー、生活収入、気候変動、水・生物多様性などの9つの人権・環境・リスク情報を順次公開している。

ファンドレイジングトピックス(宮下真美)
インパクト・エコノミーの潮流/インパクト宣言、署名機関数倍に20代は「成果」期待 ふるさと納税に日本初、寄付版SDGsカードゲーム

■「社会イノベーションとお金の新しい関係」(鵜尾雅隆) 「ウォッシュ」への懸念が質高める
「世界のインパクト投資の今の最大の甲斐田は透明性と誠実さの確保だ」。2年前のG7ロンドンサミットで、官民連携で生まれたインパクトタスクフォースの成果発表の中で委員長のニック・ハードは語った。

■廃棄物・静脈物流トピックス エコスタッフ・ジャパン
廃ペットの再生実態、調査へ/循環経済へアップサイクル団体/生分解性レジ袋2社が優良誤認に/循環経済へ守破離が核に

■論考・サーキュラーエコノミー(細田衛士) 時代は「ハイパワードマテリアル」
これまでの連載で、資本主義経済の要点は「いかに大きな付加価値を作り出すかということ」であると述べた。今回は、この点をもう少し突っ込んで述べたい。まず抑えておきたいことは、人々の関心はモノよりも個と(サービス)に移っているということである。

■欧州CSR最前線 (下田屋毅)食のグローバルムーブメント
3月7日—10日に東京ビッグサイトで開催された「FOODEX Japan 2023」で、英国サステイナブル・レストラン協会の代表取締役であるジュリアン・カイウェット・ノーブル氏が基調講演を行った。同じく英国、香港、日本から招待されたシェフがパネルディスカッションに登壇し、それぞれの思いを語った。

CSRトピックス CSR48
企業フィランソロピー対象にパナHD/障がい者雇用率26年2.7%に/資生堂とPOLAが資源循環で連携/再生プラ50%以上のA3複合機/「女性を応援する企業」に4社/「優れた統合報告書」伊藤忠など/[総監督のつぶやき]キャリアは自ら築くもの

■「こころざし」の譜(希代準郎) アコーディオン弾きの自転車旅
猿橋哲三は車窓に映る暗い海を見つめていた。打ち寄せては岩に砕ける大波。怒りを湛えたような海水の塊は灰色の空と交じり合い凶暴な一枚の絵のようだった。車掌が改札にやって来た。定期を見せて大阪までと告げると、 東京から?と怪訝な顔をされた。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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