アジア最後のダイナミックなリゾート国として注目されているスリランカ。
かつてセイロンと呼ばれた紅茶の島では、長かった内戦が2009年5月に終結。
現在、ユネスコ世界遺産6カ所を所有する観光国として成長しつつある。
島の東西を占めるビーチリゾートとは趣を変え、内陸中央部には世界遺産の一つ「古代都市シギリヤ」がある。そのハイライトである巨大奇岩「ライオン・ロック」が見渡せる草原に、ジ・エレファント・コリドールが佇んでいる。
ホテル周辺は熱帯林、目の前には、雨期に湖と化す湿地帯が広がっている。取材時に、ホテル責任者はこう語っていた。
「持続可能な自然保護には相当な資金が必要。わが国は長期内戦で自然破壊は驚異的だ。今はただ、自然や動物の保護区を作るか、可能な限り自然と人間の共存か、二つに一つしかない」と。
ホテル周辺には野生動物や150種に及ぶ野鳥が生息。80万平方㌔㍍以上もの敷地に、ヴィラや客室、レストラン棟が点在している。
圧巻はホテル名の通り、周辺を野生の象が移動すること。ホテルではその都度「象予報」を出し、客の安全には細心の注意を払っている。
<ECOなPOINT>
1. 生態系を考慮し、木や石、植物を建築前同様に復元
2. 建材、塗料など自然素材や化学薬品フリー
3. インテリア、家具調度品は再利用
4. 周辺の象に配慮し、敷地内移動カートを電気カートに
5. ナチュラリストが常駐。野生動植物の保護や調査研究を実施
<The Elephant Corridor>
キャンディから車で約3時間。「ライオン・ロック」から4㌔㍍ほど。スパ、プール、レストラン、ビジネスセンター、ショップなど施設も充実。
www.elephantcorridor.com/
執筆者プロフィール:
せきね・きょうこ フランスのアンジェ・カトリック西大学留学後、スイスの山岳リゾートで観光案内所に勤務。フリーの仏語通訳などを経て、ホテルジャーナリストに。
*本記事は、オルタナ23号(2011年2月号)から転載
連載:エコホテル巡礼
仏国留学後、スイス山岳リゾート地で観光案内所勤務中にホテル暮らしを経験。仏語通訳を経て94年から現職。世界のホテルや旅館の「環境、癒し、もてなし」を主題に現場主義を貫く。ホテルのアドバイザー。コンサルタントも。著書多数、21年4月新刊発売(講談社刊)。公式サイト:http://www.kyokosekine.com