記事のポイント
- スモアが鼻紋で個体識別を行うサービス「Nose ID」を開発した
- 専用アプリで鼻をスキャンするとペットの情報を確認できる
- マイクロチップには登録情報の更新のし忘れなどの課題がある
災害が発生したり、花火や雷の音が鳴り響いたりすると、驚いたイヌが思いがけず逃げ出してしまうことがある。貼り紙やSNSで探しても、見つからない事例も少なくない。そうしたなか、ペット関連のIT事業を行うスモア(福岡市)が、鼻のシワ「鼻紋(びもん)」で個体識別を行うサービス「Nose(ノーズ) ID」を開発した。専用アプリでイヌの鼻をスキャンするだけで、ペットの情報を確認できる。(オルタナ編集部・下村つぐみ)
スモアは2021年に設立したスタートアップ企業だ。同社はイヌの鼻のシワが個体ごとに異なることに着目し、「鼻紋」で個体識別を行うサービス「Nose ID」を開発した。
飼い主がアプリでイヌの鼻の動画を撮影し、登録しておくと、発見者が迷子犬を見つけた場合、自身のスマホアプリで撮影し、イヌの情報を照会できる。鼻紋が一致した場合、発見者と飼い主が個人情報を伏せた状態でメッセージのやり取りができ、迷子犬は飼い主の元に戻ることができる。
専用アプリには飼い主の情報のほか、ワクチンの証明書や持病などの登録も可能だ。
2022年6月からペットのマイクロチップ装着が義務化された。だが、飼い主が情報を登録しなければ、データベースに記録されない。そのため、発見者が迷子犬や迷子猫を見つけて届け出ても、飼い主の情報が見つからず、最終的に返還されない事例も多い。
その点、Nose IDはスマートフォン1台で、簡単にペット情報の登録から確認まで行える。
現在、イヌのみ個体識別が可能だが、今後はサービスの対象をネコまで広げる予定だ。
「Nose ID」は、ネスレ日本のペットケア部門ネスレピュリナペットケアが実施するペットケアのスタートアップ企業の育成プログラム「Unleashed(アンリッシュド)」の支援対象にも選ばれた。
2023年度の選考に関わった、ネスレピュリナUnleashedプロジェクトリーダーの内記利宏氏は、「日本では人だけでなくペットの高齢化も進んでおり、近年国内ではペット関連のスタートアップも活発化している。20週間の集中プログラムで経済面、コンサル面から支援し、アイディアの未来をともに切り拓きたい」と述べた。