サステナ経営塾第19期上期第3回レポート

株式会社オルタナは2023年6月14日に「サステナ経営塾」19期上期第3回をオンラインとリアルでハイブリッド開催しました。当日の模様は下記の通りです。

企業事例:ヤフーのカーボンニュートラルに向けた取組み

時間: 10:20~11:40
講師: 西田 修一氏(ヤフー株式会社 執行役員 SR推進統括本部長)

第1講には、ヤフーの西田修一執行役員SR推進統括本部長が登壇し、「ヤフーのカーボンニュートラルに向けた取り組み」をテーマに講義した。
主な講義内容は次の通り。

・「UPDATE JAPAN -情報技術のチカラで、日本をもっと便利に。」をミッションに掲げ、事業を通じた社会課題の解決に取り組んできた

・西田修一・ヤフー執行役員SR推進統括本部長は、「ヤフーのカーボンニュートラルに向けた取り組み」について講義した

・西田執行役員は「サステナビリティ」を「環境、資源、人などへの負荷が募り、社会の持続可能性が失われつつある現状をリセットする動き。企業が持つ資金やテクノロジー、人材などを使って、課題を解決する事業を生み出すことでもある」と説明した

・西田執行役員は、サステナビリティの推進について、「『当たり前』でありながら、簡単ではない」と話す

・脱炭素に関しては、ヤフーは2021年1月に「2023年度 100%再エネチャレンジ」を宣言した。電力消費の97%を占めるデータセンターで利用する電力を再生可能エネルギーに切り替えるなど、100%再生可能エネルギー化に取り組む

・スコープ1&2の20倍以上に上るスコープ3は、今後の課題だ

・自治体の脱炭素プロジェクトを公募して寄付する「企業版ふるさと納税」を実施し、21年度は10自治体に2.7億円、22年度は10自治体に2億円を寄付した

・西田執行役員は、サステナビリティ担当者に求められるスキルとして、「ストーリーを紡ぐ力」と「手法を編み出す力」を挙げた

・「義務だからではなく、『やらなきゃ』と思ってもらえるようなストーリーをどう紡ぐか。経営陣の理解を得るには、企業価値につながるということを粘り強く説明していくことも大切だ。サステナビリティは当たり前な時代だからこそ、オリジナリティやクリエーティビティを発揮していく必要がある」と話した

脱炭素社会に向けた国内外の動向と企業関連の国際イニシアティブ

時間: 13:00~14:20
講師: 池原 庸介氏(SGSジャパン株式会社 認証・ビジネスソリューションサービス ESGアドバイザリー)

第2講には、SGSジャパンの池原庸介氏が登壇し、「脱炭素社会に向けた国内外の動向と企業関連の国際イニシアティブ」をテーマに講義した。
主な講義内容は次の通り。
・1.5度目標達成へ炭素予算は残り10年分、生物多様性は50年で7割減と危機的だ

・「生きている地球指数(LPI)」によると、人類は地球1.75個分の自然資本を消費

・背景には化石燃料の採取や農地転換(土地や海の利用)など5つの原因がある

・国際社会は変革のシナリオに向けてハンドルを切っている

・昆明・モントリオール生物多様性枠組みでは5つの原因に対する取り組みを提示

・今年9月には、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の第1版を発行へ

・気候変動では世界の時価総額3分の1の企業がSBTiに対応するなど取り組みが進む

・国際イニシアティブに整合するよう機関投資家からの期待も高まっている

・たとえばNZAOAでは運用ポートフォリオの50年カーボンニュートラル実現を表明

・加盟する第一生命保険は25年までに25%、50年CN実現を掲げている

・池原氏は「機関投資家にとって、企業がSBTに対応することは安心材料だ」とした

③、④ワークショップ: SDGsアウトサイド・イン①、②

時間: 14:35~17:30
講師: 森 摂(株式会社オルタナ 代表取締役/オルタナ編集長)

第3・4講では、「SDGsアウトサイド・イン」ワークショップを行った。主な講義内容は次の通り。
・「SDGsアウトサイド・イン」とは、社会課題の解決を起点とした新規事業の創出方法を指す
・社会課題を起点にビジネスを生み出す考え方をオルタナが企画したワークショップで体験
・各グループでパイロット企業(1社)をSWOT分析し、新規ビジネスのアイデアを出し合った

「SDGsアウトサイド・イン」とは、社会課題の解決を起点とした新規事業の創出方法を指す。「アウトサイド・イン」はSDGsの公式文書に記載されている用語だが、株式会社オルタナが独自の解釈を加えてワークショップを開発した。

一般的に企業戦略は、プロダクトアウトやマーケットインが主流だ。このマーケットインの思考で、ベクトルを少し伸ばした先に社会のニーズがある。このニーズから、新しいビジネスを生み出す考え方をワークショップで実践した。

約60人の受講者は5~6人でグループを組んだ。グループの中からパイロット企業を1人(一社)選び、SDGsの17目標について、SWOT(強み、弱み、機会、脅威)分析を行った。

その後、O(機会)で選んだ目標から「最も解決したい目標」をグループで一つ選んだ。その目標の解決に向けて、パイロット企業のリソースをどう生かすか話し合った。

約60人の受講者は、サステナ担当者であるが、所属企業の業種は様々だ。自動車メーカー、損害保険会社、電気メーカー、ITなど多彩だ。異業種が連携し、社会課題の解決を目指し、意見を交わした。

susbuin

サステナ経営塾

株式会社オルタナは2011年にサステナビリティ・CSRを学ぶ「CSR部員塾」を発足しました。その後、「サステナビリティ部員塾」に改称し、2023年度から「サステナ経営塾」として新たにスタートします。2011年以来、これまで延べ約600社800人の方に受講していただきました。上期はサステナビリティ/ESG初任者向けに基本的な知識を伝授します。下期はサステナビリティ/ESG実務担当者として必要な実践的知識やノウハウを伝授します。サステナ経営塾公式HPはこちら

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..