危険作業と決別、お掃除ロボが高層ビル外壁も: イスラエル企業

記事のポイント


  1. イスラエルのスタートアップ企業がAI搭載型の小型ロボットを開発した
  2. 縦横に動くロボットはビル外観の点検作業やブラシ清掃を行える
  3. 香港の超高層ビルでの採用が決まり、日本への参入も視野に入れている

ビルの外壁清掃や点検作業には危険が伴う。この課題解決に向け、イスラエルのスタートアップ・ヴェロボティクス社がAI搭載型の小型ロボットを開発した。縦横に動くロボットは、センサーでビル外観の点検作業を行うと同時に、水や洗剤を使用せずにブラシで清掃する。すでに香港の超高層ビルでの採用が決まり、有望市場の日本への参入も視野に、提携先を模索する。(オルタナ編集部・北村佳代子)

高層ビルを清掃するヴェロボティクス社のロボット

テルアビブを拠点とするヴェロボティクス社が開発したロボットは、2本のロボット脚と吸盤、安全ワイヤーを使って、ビルの表面を歩く。重さは約9キロで、24時間作業が可能だ。現場への設置時間は1時間以内で、最大で6台が同時稼働できる。

ロボット搭載のカメラは、外壁表面をスキャンして3Dモデルを作成する。そのデータから、ビルの外壁の欠陥や構造上の問題、熱・冷却などエネルギー効率の悪い個所をピンポイントで特定する。

ロボットが吊るす清掃機器はドライブラシを内蔵し、清掃に水や化学薬品を使わない。人間による作業に比べ、最大10倍の速さで清掃を行う。

同社の共同創業者兼最高経営責任者のイドー・ゲノサール氏は、オルタナの取材に起業のきっかけを語った。

「以前、建設・不動産業界で働いていたときに、ビルの外壁清掃と点検に効果的なソリューションがないことを課題に感じていた。AIやロボット技術を活用すれば、潜在的に危険な現場に人を配置する必要はなくなると考えた」

イスラエルも日本と同様、ビルの清掃やメンテナンス作業は、屋上に設置した大型クレーンからゴンドラ等を下ろして作業する形が主流だという。

「作業員の安全確保はもちろん、ビル運営者にとっても時間やコスト・労力の負担を軽減できる。なぜ業界の慣習が100年も変わらずにきたのか、理解できなかった」(ゲノサール氏)

香港の摩天楼への採用が決まる

ビルの窓清掃システム市場は、年率14%成長を見込む

「有望市場の日本での事業展開提携に向けて積極的にパートナーを模索したい」

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北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #サステナビリティ

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