脱炭素目標で環境NGOとメガバンクのギャップは埋まるか

■連載「曲がり角のカーボンニュートラル」(5)

記事のポイント


  1. 環境NGOは2020年からメガバンクに気候変動について株主提案を続ける
  2. 2030年までの石炭火力発電からの撤退など「2030年ターゲット」を重視する
  3. 環境NGOとメガバンクとの間のギャップが縮まる可能性は低い

国内外の環境NGOは2020年から、国内3メガバンクに対して気候変動についての株主提案を続ける。特に「2030年までに石炭火力発電からの撤退」など「2030年ターゲット」を重視する。一方メガバンクは、「投融資ポートフォリオからの GHG 排出量(スコープ 3)2050年ネットゼロ」を目指す。双方のスタンスには大きなギャップがあり、縮まる可能性は低い。(オルタナ総研フェロー=室井孝之) 

環境NGOは2023年の株主総会で3メガバンクを含む、6社に株主提案を行った

この「2030年ターゲット」はIEA(国際エネルギー機関)によるもので、「2030年までにOECD加盟国における石炭火力発電からの撤退」のほか、「世界の総電力量に占める自然エネルギーの割合は60%以上」などのネットゼロシナリオに基づくものだ。 

株主提案に対する賛成率を唯一公表しているみずほフィナンシャルグループを引用し、本年度の株主提案の背景、メガバンクの株主提案に対する取締役会での論議、環境NGOの提案継続の理由について時系列的に見てみよう。 

株主提案は4月に提案主の環境NGOが行い、5月に企業側の見解が示され、提案主は企業側とエンゲージメントを行い、提案の最終判断を決断するというプロセスを踏む。 

2023年4月11日、RAN(レインフォレスト・アクションネットワーク、本部・米サンフランシスコ)、マーケット・フォース(本部・オーストラリア)、気候ネットワーク(本部・京都市)の3環境NGOは3メガバンク(MUFG、三井住友FG、みずほFG)に対して、気候変動対策の強化を求める株主提案を提出した。 

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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