カリフォルニア州、企業のGHG排出開示義務化へ: 全米初

記事のポイント


  1. SBTiは、企業のネットゼロ目標の科学的根拠を認定する国際イニシアティブだ
  2. SBTiは今月、カーボン・クレジットの使用を認めるルール緩和を発表した
  3. しかしスタッフらの猛反発で、「これまでの方針に変更なし」と発表した

米カリフォルニア州議会は9月12日、企業にバリューチェーン全体のGHG(温室効果ガス)排出量の開示を求める州法案を可決した。全米初となる、気候変動関連情報の開示の法制度化に向けて、カリフォルニア州は大きな一歩を踏み出した。適用対象企業は、年商10億ドル以上の同州内企業で、2026年から排出量の算定・公表が義務化される。(オルタナ編集部・北村佳代子)

米カリフォルニア州議会は、企業にGHG排出量の開示を義務付ける法案を可決

カリフォルニア州議会は9月12日、企業にGHG排出量の開示を求める新法案を賛成41、反対20で可決した。今後、ギャビン・ニューサム州知事が署名すれば法案が成立する。成立すると、GHG排出量を開示を義務付ける全米で初の州法となる。

「カリフォルニアの気候にとって大きな勝利だ」

「本法案によって、カリフォルニアは、企業の炭素排出に関する透明性で世界のリーダーとなる」。本法案を今年初めに提出したスコット・ウィーナー上院議員は、法案可決後、SNSにこう投稿した。

本法案の適用対象となるのは、カリフォルニア州内で事業を行う、年間売上高10億米ドル(約1470億円)以上の企業で、対象企業数は約5400社に上る見込みだ。日本企業の現地法人や日系企業も含む。

適用対象となった企業は、自社による直接排出(スコープ1)、電力購入と使用による排出(スコープ2)に加え、バリューチェーン全体を含めた間接排出(スコープ3)のすべてについて、毎年、算定し開示することを義務付ける。

算定・開示の開始時期は、スコープ1とスコープ2は2026年から、スコープ3は2027年からとなる。

「第三者認証」の取得も義務化される。スコープ1と2は、2026年から限定的認証を、2030年からはより厳格な合理的認証の取得が義務化され、スコープ3には2030年から「限定的認証」の取得が必要となる。

米SEC(証券取引委員会)は現在、上場企業の気候関連情報開示ルールの最終案を策定中だ。SECは2022年3月に初期の開示ルール案を公表したが、カリフォルニア州の法案はSEC案に比べ、上場企業に限らずすべての大企業を対象とし、スコープ3も含めた開示報告を求めるなど、より踏み込んだ内容となっている。

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ副編集長)

オルタナ副編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部。

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キーワード: #ESG

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