JICAは9月22日、初の「防災・復興ボンド」発行

記事のポイント


  1. JICAは、初の「防災・復興ボンド」を発行
  2. 防災及び自然災害からの復興を支援する有償資金協力事業に充当
  3. 耐震性や防火性の高い建物、橋、道路等に活用

JICAは9月22日、初の「防災・復興ボンド」を発行した。発行総額320億円、償還期間20年のサステナビリティボンドだ。耐震性や防火性の高い建物など防災及び自然災害からの復興を支援する有償資金協力事業に充当する。(オルタナ総研フェロー=室井孝之)

初の「防災・復興ボンド」は総額320億円を発行

JICA(独立行政法人国際協力機構、理事長: 田中明彦)は、「人間の安全保障と質の高い成長の実現」がミッションである。事業戦略の一つに「防災・復興を通じた災害リスク削減」を掲げており、防災及び自然災害からの復興に向けた取り組みを一層強化するため、初めての「防災・復興ボンド」を発行した。

JICAの業務は、二国間援助である有償資金協力・技術協力・無償資金協力が主要3業務であり、本債券による調達予定の資金は、防災及び自然災害からの復興を支援する有償資金協力事業に充当する。

2022年度の有償資金協力事業は、計30カ国・1地域にて、68件、2兆4506億円の事業を行った。SDGsのゴール別では、8(経済成長)、9(インフラ)、11(まちづくり)、13(気候変動)の事業が多かった。

JICAは2016年度以降、ソーシャルボンドの位置づけで、特定のテーマや地域に資金使途を限定する「テーマ債」を発行して来た。

2019年度にはアフリカでの事業向けの「TICAD債」、2020年度は「新型コロナ対応債」、2021年度は、「ジェンダーボンド」、2022年度は、「ピースビルディングボンド(平和構築債)」である。

2023年度は、サステナビリティボンドの位置づけとして、「防災・復興ボンド」を発行した。

資金は、耐震性や防火性の高い建物、災害時のライフラインとしての橋や道路、 津波被害地域の減少、洪水による浸水被害面積、浸水戸数の減少、事前防災等に活用される。

本債券は、ICMA(InternationalCapitalMarketAssociation/国際資本市場協会:イクマ)が定義する「サステナビリティボンドガイドライン2021」等に適合する旨、第三者評価機関のMoody‘sからセカンドオピニオンを取得している。

既に325件の投資家が投資を表明している。

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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キーワード: #サステナビリティ

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