廃棄物・静脈物流トピックス: 廃マットレスをリサイクルへ

雑誌オルタナ74号(2023年9月28日発行)の「廃棄物・静脈物流トピックス」を紹介します。

■廃マットレスをリサイクルへ

マットレスなど家具のリサイクルを推進する

「家具インテリアリサイクル&リニュー協議会」が6月28日に始動した。

家具メーカー、家具小売業、物流企業など家具インテリア業界の有志企業35社が、業界の環境経営促進にむけて連携して取り組む。

参画各企業は、家具インテリア業界共通の課題である、不要家具の引き取り・再利用・再資源化などの資源循環や、森林の生態系保全、CO2排出削減など、環境負荷の少ないサプライチェーンの構築とサーキュラーエコノミーの実現を目指す。

同協議会のリソーシングワーキンググループは、不要家具の引き取りと再利用化促進の取組みとして、処理困難物である「廃スプリングマットレス」のリサイクル実証実験を6月から関東地区で開始。

伊藤忠テクノソリューションズが開発したデジタルプラットフォームを活用し、廃スプリングマットレスをリサイクルするための効率的な回収、鉄資源などの資源循環の促進を足掛かりに、リソーシング系の共通基盤構築を目指す。


■資源循環社会へ、大手銀と連携

三井住友信託銀行とエンビプロ・ホールディングス(以下「エンビプロHD」)は、循環経済の構築を目的とした連携協定をこのほど締結した。

企業や地方自治体に対するサーキュラーエコノミーの構築への要請が強まっており、今回の連携で企業、地方自治体、消費者を巻き込んだ持続可能な社会システムへの転換を目指していく。

エンビプロHDは廃棄物の有効活用と削減、再生原材料の製造に取り組む。一方、三井住友信託銀行は銀行・信託業務を通じて多様なステークホルダーとの接点やソリューション提供力を持つ。

両社の連携により、エンビプロHDのノウハウや三井住友信託銀行の顧客基盤などの強みを生かし、地域や顧客のサーキュラーエコノミー構築を支援し、持続可能な社会の形成を目指す。

三井住友信託銀のノウハウを活用して、廃棄物回収から再資源化に課題を抱える自治体や製品メーカー企業とエンビプロHDをマッチングする。


■ゴミから堆肥に、短期間で製造

出光興産と同社100%子会社の出光アメリカズホールディングスは、カナダのクリーンテック企業Anaconda Systems社(以下、アナコンダ社)と協働し、有機廃棄物を原料とした堆肥製造の事業化検討を6月から開始した。有機廃棄物を10日以内の短期間で堆肥化する技術を用い、大規模かつコスト競争力に優れた廃棄物処理・堆肥製造を目指す。

現在、国内の廃棄物処理は各自治体での焼却が主流だが、それに代わりアナコンダ社が有する技術を用いて堆肥化することで資源として循環し、廃棄物処理におけるエネルギー利用の効率性向上とコスト削減を実現する。

出光興産は2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けてビジョンを掲げているが、今後は、各自治体、設備運営・保守等を担うパートナー企業等の協力を得ながら堆肥化事業の実用化検討を進め、初期プラントを20年代後半に建設することを目指していく。


■白井グループ・白井徹社長が逝去

廃棄物運搬業などを手掛ける白井グループの白井徹社長が6月24日に逝去した。58歳だった。

白井氏は1965年生まれ。2003年4月に白井グループ社長に就任し、廃棄物の収集運搬業務にとどまらず、米国の廃棄物処理大手などとの連携を通じ、廃棄物物流の効率化と循環経済の実現に向け業界横断的に取り組んできた。06年には、廃棄物業界の全国ネットワーク組織である「エコスタッフ・ジャパン」(東京・中央)の設立に参画した。

オルタナ別冊「わがパーパス」では、同社のパーパス(存在意義)を、「都市のインフラとなり、暮らしと経済の下支えとなる」と定義し、「廃棄物の収集が効率化されれば、人材や車両などのリソースにゆとりが生まれる。それを社会へ還元したい」と書き残した。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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