アフガンの「黒い正方形」(希代 準郎)
◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(43) カブール郊外に目指す家はあった。土漠の中にポツンと立っている。壊れかけた玄関のドアをたたくと髭をたくわえた熊みたいな男がぬーっと顔を出した。
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(43) カブール郊外に目指す家はあった。土漠の中にポツンと立っている。壊れかけた玄関のドアをたたくと髭をたくわえた熊みたいな男がぬーっと顔を出した。
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(42) 先日亡くなった旧友から突然手紙が届いた。葬儀が終わったら投函するよう誰かに頼んであったのだろうか。 男の名前は加納正司。元プロ野球選手だっ
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(41) 「この記事、なかなか読ませるじゃないか、大輔。部屋の広さは3畳しかないのか。狭いなあ」 横浜の「ドヤ街」と呼ばれる日雇い労働者の簡易宿泊所
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(40) 子供たちを連れて丘に登る。秋の澄んだ夕陽を受けて青磁色の海が白いレースをひらめかせている。真砂卓也は埠頭に係留してあるヨットを見下ろす。五隻
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(40) 子供たちを連れて丘に登る。秋の澄んだ夕陽を受けて青磁色の海が白いレースをひらめかせている。真砂卓也は埠頭に係留してあるヨットを見下ろす。五隻
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(39) 津波に押しつぶされた夕闇の原野にぽつんと黒い棺桶が屹立している。酔い覚ましがてら歩いて帰ろうとしたのはいいが、気まぐれに足を踏み入れた山側で
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(38) 時計の針は午前零時を回っている。三畳一間の古ぼけたアパートの窓から外をうかがうと街灯の下で冷たい雨が風にあおられ湿った曲線を描いている。向こ
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(37) 思うところがあって少しばかり前に会社をに辞めていたので、桜の季節に霧子が亡くなっていたことを知らなかった。会社の元の同僚は誰も教えてくれなか
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(36) 「父さん、どうして皆、この島を出ていくのかなあ。僕はいやだな」 さらさらと澄んだ水が小石の上を走るのに目をやりながらウルヴァが尋ねた。気まず
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(35) 智彦がバングラデシュのNGOで働くことになったのはいくつかの偶然が重なったからである。 津波で父と母そして妹が家ごと流された。避難生活、ガ
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(34) カトリック教会の静寂な空間を一歩外に出るとホームレスがスープキッチンに列をつくっている。垢にまみれよだれを垂らした麻薬患者とおぼしき姿もある
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(33) もう一年も前のことになる。冬の冷え込みのきつい夕暮れだった。みぞれまじりの雨が舞っていた。「校長、きょうは珍しく雪になるらしいので早めに帰っ
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(32) 山奥深く、湿った熱を帯びた杉林がこんもりと茂る急な山道を月あかりに照らされながら犬の群れが山里に向かって駆け下っていた。舌を出し牙をむいた表
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(31) 古いビルが軒を連ねるオールドハバナの街を歩くとタイムスリップしたような錯覚に陥る。キューバ革命前のクラシックカーが通りを走っている。シボレー
連載コラム◆「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(30) 「ボランティアセンター(ボラセン)のセンター長を引き受けてほしい。新聞社に勤務していたあなたのような人が必要なんです」。そんな電話が赴任予定の
連載コラム「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(29) 大学の授業までに間があったので、サーモン味のキャットフードを駅ビルで買おうと緑の窓口の前を通りかかった時だった。黄金週間の切符を求める長い列、
連載コラム「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(28) 山崎慎也はようやく目的地の原宿の教会を見つけ旅の終わりにホッと息をついた。きのうの午後、ワゴン車で雪の降りしきる新潟を出発、徹夜でハンドルを
連載コラム「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(27) ル、ル、ルと鳴り始めた瞬間、電話をガバッとひったくった春ばあさんが、「おー、そうか、そうか」と大仰にうなずきながら幸山翔真を振り返った。「最
連載コラム「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(26) 「セニョール、若い女の子のお店行きませんか。安くはありませんが」。夕食を終えて通りへ出たところで、裕也たちはひとりの男に呼び止められた。ポンコツ
連載コラム「ショート・ショート」(掌小説)こころざしの譜(25) 結婚式の夜、光希子からベトナムへの新婚旅行に車イスを持って行きたいと切り出された時には慎一も困惑を隠せなかった。ニャチャンは海がきれい、歴史を
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