■ 隠れ肥満も見分ける
「アミノインデックス技術」の用途は、がんリスクのスクリーニング検査だけにとどまらない。花王の子会社ヘルスケア・コミッティー(HCC)と資本提携し、味の素が次のターゲットと定めるのが、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)や運動器症候群(筋肉や骨などの働きが衰え、要介護や寝たきりのリスクが高まった状態)の予防だ。
吉元部長は「メタボや運動器症候群が、アミノ酸のパターン変化と関係あるかどうか研究している。アミノインデックスで、隠れ肥満や隠れ糖尿病を見分けることができ、適切な食事や運動を提案することで予防できれば理想的だ」と話す。
スポーツへの応用も視界に入りつつある。スポーツ選手の疲労度の把握や、競技ごとに最適なトレーニング法の選定、摂取すべきアミノ酸の選択などに、「アミノインデックス技術」を活用できることを目指している。
「オーバートレーニングをするとアミノ酸のパターンはどう変わるのか、試合に挑む際の理想のアミノ酸パターンはどうなのか、などが提示できれば面白い」と吉元部長。種目や状況に応じて摂取するアミノ酸のタイプを変えることで、パフォーマンスを向上させるという青写真を描く。
美容も、期待される応用分野の一つだ。ダイエット状態を「アミノインデックス技術」でモニタリング。筋肉が落ちていないか、アミノ酸の栄養素は足りているかなどが分かればダイエットの失敗も少なくなる。
無限の可能性を秘める、アミノ酸を中核とする医療・健康へのアプローチ。味の素は、各家庭でアミノ酸が測定できるような技術を開発・普及し、健康な状態を維持・亢進できるツールにすべく今後もさらなる研究を続けていく。