■小林光のエコめがね(15)■
本欄では、ビジネスは生態系の良き知恵をもっと学ぶべき、と訴えている。今回は意匠、デザインについて考えてみたい。
私は蝶が子どもの頃から大好きで、文字通り図鑑を枕に寝ていたほどである。特に不思議なのは羽の模様である。
興味のない人にはそもそも大きいか小さいか、黒いか白いか程度しか識別できないだろうが、実は極めて多様で、一つとして同じ文様を持つ別種はいない。蝶の羽は多様だが、私などがびっくりするのは、例えばABC26文字と1から9の数字ですら羽の上に探すことができることである。
蝶はアルファベットを解すはずもないのに、羽には、人間から見れば文字に見える物が書いてある。
何とも奇妙だが、蝶の間では大事な、同じ仲間かどうかのサインであり、住んでいる環境への擬態の結果などであったりもする。きれいなだけではなく、見た目が大事な役割を果たしている。