セクシーな広告の撮影と聞いて集まったモデルたちが、監督の指示する言葉を「セクシーに」つぶやいていくと、ふと表情がくもる。カンペに書いてあったのは「毎日約800人の母親と1万8000人の子どもが防げるはずの病気で死亡している」というセリフだ。この動画は、紛争下の母子が置かれた現状を訴えるためのもので、5月6日の公開から3週間で再生320万回を記録した。(オルタナ編集部=佐藤理来)
動画を制作したのは、国際NGOセーブ・ザ・チルドレン。世界中の厳しい環境にいる母親たちの現状を伝えるため、YouTubeに「史上最も価値あるセクシーモデルビデオ(原題:The Most Important Sexy Model Video Ever)」を公開した。日本語字幕版は29日に公開された。
モデルたちは戸惑いながらセクシーに演技に努めるが、違和感はぬぐえない。
「2012年に5歳未満で死亡した子どもは660万人」
「武力紛争で殺される人1人に対し、15倍もの人が副次的な防げる原因で死亡している」
こうしたセリフではセクシーにはなれないと根を上げる人もいる。
深刻な情報を伝えるのに、セクシュアルな魅力を使うべきか、意見が分かれるだろう。しかしひとつだけわかっているのは、この事実から目をそらしてはいけないという点だ。
動画の最後はこう締めくくられる。
「この問題をセクシーにすることはできないけども、あなたにもっと知ってほしい」
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン事務局長の千賀邦夫氏は「人々を惹きつけてアクションを促すような内容にした」と述べている。
日本語字幕付きの動画はこちら:https://www.youtube.com/watch?v=lecieSy59Hg&feature=youtu.be