地震から命と暮らしを守るために――住宅の地震対策の重要性

現在、日本の住宅を守る方法として主に「耐震」「免震」「制震」という3つが挙げられる。それぞれを簡単に説明すると、「耐震」とは家の構造を頑丈につくって、揺れに「耐える」方法。

建物自体でエネルギーを吸収するので、壊れることが前提のやり方である。一方、免震とは、1階の床下に地震エネルギーを吸収する層を作ることで、建物自体に損傷がでないようにする、揺れを「免れる」方法。

新たな階層を作ることになるので、コストが高くつくのが一番のデメリットだ。そして「制震」とは、地震の揺れを吸収するシステムを家の中に設置するなどして、地震エネルギーがそこに集中するように「制御」する方法。建物へのダメージはあるが、その度合いを軽減することができる。

では、私たちはどの方法を選ぶのがよいのだろうか。五十田教授は、どれということではなく、それぞれの建て主 が、「耐震構造に制震システムを組み込む方法」や「免震構造」を希望に応じて選べる環境ができることが、一般家庭にとって一番いいと説明する。

耐震も免震も制振もそれぞれメニューの一つ。コストと必要な性能を考えて、そのメニューから選ぶ必要があると五十田教授は話す。たとえば「お金をかけてもいいからとにかく損傷を少なくしたい」のであれば免震。

「あまりお金をかけられないけど、余震への強さもほしい」ということなら制振 。「とにかく一度の大地震に耐えてくれればいい」ということなら耐震。それぞれメリット・デメリットがあるので、きちんと理解をして選ぶことが重要だと思うと言う。

五十田教授は、それらのメニューの中でも「正しく検証がなされた方法」であることが重要だと付け加える 。その「正しい検証」とはどんな検証なのか、そのような検証がされた制震システムが実際にはどのようなものか、次回に触れたいと思う。

「地震から命とくらしを守るために――一般家庭に制震技術を届けたい」  >>
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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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