津波被災の天然エビ輸入会社、「二重の債務」で倒産の危機

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東日本大震災の津波で工場が全壊し、石巻市から大阪に移転した天然エビ輸入会社が、倒産の危機に瀕している。震災前の債務に加えて、事業再開にともなう借金も背負う「二重の債務」の中での再出発。ところが今年に入り、アベノミクスによる円安、消費税増税も追い打ちをかける形で、事業環境が急激に悪化した。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■「天然無添加、持続的漁獲」3・11で暗転

「震災後の売上げは半減しています。円安や消費税増税も、企業体力を回復させる上での足かせになっている」。パプアニューギニア海産(大阪・茨木市)の武藤北斗工場長は現在の窮状を説明する。

南太平洋のパプアニューギニア沖で獲れた天然エビの輸入、加工販売が同社の事業だ。エビは水揚げした船の上で急速冷凍。殻が黒くなるのを防ぐ「黒変防止剤」などの薬剤や添加物は一切使用しない。さらに12月から3月まで禁漁期間を設けるなど、水産資源の保護にも注力。こうした取組みが食の安全を重視する消費者に支持され、同社の天然エビには根強いファンが存在する。

津波で壊れた石巻の工場=写真提供:パプアニューギニア海産

津波で壊れた石巻の工場=写真提供:パプアニューギニア海産

ところが震災の津波で工場が全壊したことに加えて、東電原発事故が追い打ちをかける。同社のエビは天然物の味に加えて安全と安心が売り。それだけに、石巻での事業継続を検討する時間的な余裕もなく、移転して再起を図る道を選んだ。

「震災前の負債がある中、工場や設備を一から揃えての再出発でした。しかし売上げが落ち込む中で事業再建に要した借金を新たに抱え、原料価格なども上昇する中で資金力が低下。今年に入り、現地の漁師からエビの直接仕入れが難しくなりました。

そこでやむを得ず値上げしたところ、折からの円安に加えて消費税増税も重なり、4月以降、さらに売上げが落ち込んでいる状況です」(武藤氏)

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2014年12月3日(水)14:11

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