住宅機器大手のリクシルは16日、実験中の「太陽熱光ハイブリッドパネル」が、既設住宅で年間のエネルギー消費を約8割削減できることを実証した、と発表した。太陽熱光ハイブリッドパネルは、太陽エネルギーから熱と電気を同時に取り出せる装置。同社はGF技研(静岡県富士市)と共同で開発を進めている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)
■住宅のエネルギー消費「8割削減可能」
太陽エネルギーの利用では、ソーラーパネルによる発電、太陽熱温水器を使った熱利用が一般住宅にも普及している。太陽熱光ハイブリッドパネルは、不凍液を循環させて集熱する方式の太陽光温水器とソーラーパネルを1枚に組み合わせた装置だ。
一般的に住宅用のソーラーパネルおよび太陽光温水器は、屋根に設置されることが多い。リクシルは屋根面積の有効活用を目的に、太陽熱光ハイブリッドパネルの研究を進める。2013年までは千葉県野田市内の同社研究施設内で実験を行っていたが、2月からは富士市内に建つ一般住宅の屋根に同パネルを設置。実証実験を始めた。
住宅は築28年で、高齢者2名が居住。今回設置されたパネルの面積は20平方メートルで、発電と集熱の能力比は概ね45:55。同社は「住宅総消費エネルギーの約80%が削減可能」と説明している。
課題はパネルの軽量化と、生産したエネルギーを無駄なく使い切ること。実験では、パネルのシステムを配電網に接続しない「独立型」として運用している。しかしながら蓄電池を備えていないため、余った電気は捨てているのが現状だ。また、夏に余剰となる熱エネルギーの使い道も問題となる。
「発電と集熱をモジュール化することでエネルギー変換効率が高まる。生み出したエネルギーを100%活用できるようにするのが目標」(同社広報部)とのことだ。