[書評:孤独死のリアル]自助・互助を行政が支えよ

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国内では現在、年間約3万人が「孤独死」を迎えると言われる。その予備軍となる一人暮らしの高齢者は全国で約600万人。近年は現役世代の孤独死も目立つ。『孤独死のリアル』(結城康博著、講談社刊、税込821円)は、地方自治体で福祉行政に従事した経験を持つ研究者が執筆。「孤独死は誰にでも起こりうる」として、社会としてこの問題に向き合う必要性を説いている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■「孤独死=悲惨」は誤り?

『孤独死のリアル』(結城康博著、講談社現代新書)

『孤独死のリアル』(結城康博著、講談社現代新書)

孤独死と聞いてまず連想するのが、死亡から時間が経過し、周囲が異変に気付いてようやく発見されるケースだ。この場合、遺体の損傷が進み、亡くなった人の尊厳が損なわれるような状況に至っていることが多い。

ところが死後2、3日で発見されれば、こうした悲惨な状況とならずにすむ。さらに故人を知る人らによって葬式が行われれば、それは「寂しい死」とは言えない。孤独死イコール悲惨、とは限らないのだ。

著者は「孤独死は避けて通れない現実」とし、「遺体が遅くとも2~3日で発見されるような社会にする」ことが必要と説く。それには社会が孤独死への関心を高め、一人ひとりも周囲との関係の維持に努めることが大事だ。

■行政が担える役割とは

政府は厳しい財政事情から、社会保障の役割を担う体系として「自助」「互助」を強めるよう期待する。自助とは文字通り自己の努力、互助とは地域の支えあいの事だ。

ところが現在、自治会役員やボランティアらの献身的な努力が互助を支えている。一応公務員ではあるが無報酬の民生委員も、互助の担い手といえよう。そうした人々の高い「志」にのみ依存してはいけない、と著者は警告する。現に民生委員は後継者不足から定数割れを起こしている。

互助活動の運営サポートや、独居世帯の見守りで緊急の対応が求められる場面などにおいて、行政が役割を担うべきとする著者の指摘は妥当だろう。本書では、配達業などの事業者が行政と連携して高齢者の見守りを行う事例も紹介されている。

2015年1月16日(金)14:04

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