原発事故廃炉費用の託送料への転嫁案に批判や不満

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東電原発事故の賠償・廃炉費用を送配電網の使用料「託送料金」に上乗せするという経産省の方針に対して各所から批判が高まっている。原発事故に関係がない新電力会社(PPS)や消費者にも負担を強いるという矛盾に加え、賠償・廃炉費用も従来見通しの10兆円から突然20兆円に跳ね上がり、試算の妥当性にも疑問符が付いた。東電を過度に救済する仕組みに対して、PPSからも不満の声が上がる。(オルタナ編集委員=斉藤円華)

■自然エネPPSは「相対的に不利」

福島第一原発の凍土壁。事故にともなう費用は20兆円に達する見通し(東電広報資料から引用)

福島第一原発の凍土壁。事故にともなう費用は20兆円に達する見通し(東電広報資料から引用)

11月29日、廃炉費用の託送料金上乗せに反対する消費者団体や新電力、国会議員らが衆院議員会館で集会を開催。立命館大学の大島堅一教授は「(託送料金への上乗せは)債務超過に陥った東電の救済策で、電力自由化の趣旨に反する」と述べた。

その上で大島氏は東電原発事故の賠償・廃炉費用について、託送料金への上乗せではなく税とすることを提案。「託送料金への上乗せでは費用の内訳が見えなくなるが、税とすることで国民に明らかとなる」と説いた。

自然エネルギー供給を主体とするPPSは、託送料金への上乗せに危機感を募らせる。環境NGOなどでつくる「パワーシフト・キャンペーン」は24日、新電力へのアンケート結果を公表。回答した29社中25社が自然エネルギー供給を重視し、内9割が託送料金への上乗せは「適切でない」と答えた。

その理由を尋ねると、「原発電源の利用を望まない需要家も費用負担することになる」「原発の恩恵は皆無なのに負担を強いられる」などの意見が挙がった。

また、消費者組織の日本生協連も「原子力発電を行う事業者が廃炉費用を売電価格に反映させるべき。(託送料金への上乗せは)原発以外の電気を利用したいと要望する消費者の理解を得られるとは思えない」と不満を訴える。

パワーシフト・キャンペーンの吉田明子氏は「(上乗せは)原子力という特定の電源の保護であり、自然エネルギー重視の新電力は相対的に不利になる」と話している。

2016年12月2日(金)11:30

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